マンション法とも呼ばれている区分所有法の一部改正の法律要綱案が公表されました。国会提出政府案までには一部流動的な部分もありますが、要綱案から既存のマンションに関わる点について、管理組合運営がどのように変わるのか、いくつかの問題点等を考えてみました。
区分所有法改正の改正法律要綱案
 @共用部分の変更 A管理者及び管理組合法人の代理権及び当事者適格
 B規約の適正化  C管理組合の法人化の要件
 D規約・議事録等及び集会決議の電子化等
 E復旧      F建て替え決議
 G団地内の建物の建て替え承認決議

■改正案@共用部分の変更/大規模修繕は過半数決
 現在の区分所有法では、共用部分の変更(共用部分の変更で多額の費用を要しないものを除く)は四分の三以上の賛成が必要で、大規模修繕もその一つ。
 今回の改正案で、大規模修繕については過半数の賛成でできることになります。大規模修繕はマンション管理の中で、重要で大変な業務ですが、今回の改正案で合意形成がたやすくなり、工事着工をスピーディに進めることが可能になります。一方、管理組合役員による一方的な運営のおそれもありますので、これまで以上に、透明性を高め民主的管理組合運営が求められます。
 なお、「形状の著しい変更」(駐車場の増設等)については、これまで通り四分の三以上の賛成が必要です。

■改正案C管理組合の法人化/人数要件を撤廃
 これまでは管理組合法人になるためには、区分所有者数が三十人以上(三十戸ではありません)いなければ決議できませんでした。今回の改正案では「数」の要件を撤廃しました。
 これによって、例えば、小規模マンションで専有部分を集会室に使用とする場合、登記するのが複雑であきらめていた管理組合などでは歓迎されています。
 但し、法人格をうけるためには、適正な管理組合運営に努めることが求められます。


■改正案F建て替え決議/要件は五分の四以上の多数決のみ
 区分所有法の改正でこの件が最も論議になりました。
現在の「区分所有法」の建て替え決議の要件として、「老朽化し過分の費用を要する」とありますが、この「過分とは何か」が不明確で問題になってきました。法制審議会(法相の諮問機関)区分所有法部会は8月22日、建て替えを認める要件として「所有者の五分の四以上の賛成」だけにする案と、それに「築30年以上」を加える案の両論併記としましたが、「築30年以上」の方向になる予定でした。(「築30年」という数字にも客観的な意義を認められるものではありません)。


■マンション建て替え要件が突然に変更
 ところが、9月3日の法制審議会総会では、建て替え要件を「区分所有者の五分の四以上の賛成」だけとする改正要綱案を決定し、森山法相に答申しました。
区分所有法部会で時間をかけ審議し、「築30年経過したとき、建て替え決議ができる」としていたものが、「五分の四以上の賛成」だけに突然変更されたことはなぜでしょう。
 日本経済新聞(9月4日付)は、「自民党やマンション・不動産業界などから、築後30年以上の要件を外すよう求める声が相次いだ」、また、読売新聞(9月4日付)では「政府の総合規制改革会議の学者、経済人や自民党内から『規制改革の流れに逆行する』と待ったがかかった」と、政府・業界の強い意向が盛り込まれたことを報道しています。


■長生きマンションへ
 少数者の権利も守り、建て替えの合意形成をつくるには、長く使う努力をすること。その結果、建て替えざるを得ないとなれば、建て替え合意もスムーズにできるのではないでしょうか。
 日本共産党は、修繕への支援体制をつくること。公正な第三者機関を設置し、建て替えが必要かどうか「提案」できる体制をつくることも必要ではないかと、
考え検討しています。