昨年12月に与党三党が提出した「マンション管理の適正化の推進に関する法」 (「マンション管理適正化法」)が、国会で成立しました。日本共産党国会議員団マ ンション問題対策委員長の緒方靖夫参議院議員に「マンション管理適正化法」につい てインタビューしました。

─はじめにこの法律がつくられた背景についてお聞かせください―

●緒方靖夫  分譲マンションは、大都市を中心にこの三年間で急増 し、都内では65万戸以上にも達しています。それにとも なって老朽マンションの建て替えをめぐる問題や管理会 社のずさんな管理などによるトラブルもふえ、マンショ ン管理組合の団体や日本弁護士連合会などから適切な維 持・管理ができるよう、国としての対策が求められてい ました。日本共産党も、かねてから「マンション管理支 援法(仮称)」を提案し、その制定をつよく求めてきた ところです。  こうした動きを背景に、初めてマンション管理の法的 支援策ができたことになります。

─法律の内容と特徴について、日本共産党はどのように考えていますか―

●緒方  マンション管理を初めて法律に明記したことや管理会社に法の網の目をかけたこと、 宅建業者から管理組合への設計図書交付をもりこんだことなど、積極的に活用すれば 管理のトラブル解決の一助になるものであり、日本共産党としても賛成しました。  しかし、法案にはあいまいな点や不明瞭な点があり、懸念する声も寄せられていま したので、日本共産党としては、できるだけ実効性ある法律に改善させる立場で質疑 し、提案も行いました。

─マンション管理士については、どのような質疑がされましたか―

●緒方  管理組合の運営にあたっては、規約改正や長期修繕計画作成など専門知識が必要で、 区分所有者だけでは対応できない場合もありえます。  そこで、今回の法律では、管理組合に助言・指導(有料)をする管理士制度を国家 資格としてつくるとしているわけです。  しかし、管理士が、区分所有法上の管理者になれるという点が懸念されていました。 私は、この点について、管理業者や建設会社の社員が管理士の資格を取り管理者になっ た場合、業者に都合のよい業務を行わない保証はないと指摘し、管理士が業として管 理者になることは原則として禁止すべきだと提案しました。  実際、大規模修繕工事を受注する狙いで建設会社の社員が管理組合の理事に就任す るなどの事例はたくさんあります。提案者は、「管理組合が自主的に決定する」のが 法律の原則だが、「管理士が公正、妥当性を欠く場合は登録を取り消す」とか「利益 相反になる場合、管理士を紹介する際にできるだけ他の管理士を選ぶようにアドバイ スしてもらう」などと答えるにとどまりました。  この点は、運用を通じて改善させていくことが必要だと思います。  管理士の費用についても管理組合に新たな負担をしいることのないよう要求しまし た。提案者からは、都の管理アドバイザー制度(1日1回2時間以内1万円、超過一時間 当たり5千円)に準ずるよう「期待する」との答弁がありました。

─管理会社の登録制度についてはどんな質疑がありましたか―

●緒方  現在、管理会社は千数百社あると言われ、管理組合役員の経験が少ないのにつけこ んで、不当な業務委託料を請求するなど悪質業者も後をたちません。とくに、建設省 の内部規定では丸投げ(一括再委託)を禁止しているのに、総務庁の調査では約4割 の業者が管理委託契約書でいまだに丸投げを可能としています。  今回の法律では、管理業者は国に登録が義務づけられました。登録にない業者は受 託できないことになります。これは当然です。  しかし、これまで再三の指導に従わなかった悪質業者がすでに存在しているわけで すから、居住者の利益を守る立場から、こうした業者には登録を認めない措置をとる ことが必要です。  私のこの提案に対し、提案者は、「(登録を認めた上で)不正や違反行為があれば 罰則で是正する」と答えるにとどまりました。不十分であり、今後のきびしい監視が 必要だと思います。

―問題多い大手業者の「収納支払い代行システム」については―

●緒方  今回の法律では、管理業者に対して、受託内容の重要事項についての管理組合 への説明や定期的に管理事務報告を行うこと、一括再委託の禁止、受託を受けて管理 する修繕積立金などの名義を管理組合理事長名義とすることなどの規定も課されまし た。  これらも当然ですが、私は、その上にたって質疑で二点提起しました。  一つは、大手管理業者の「収納支払い代行システム」を規制する問題です。  このシステムは、管理業者が区分所有者の個人口座から管理費等を毎月口座振り込 みで収納し、そこから立替え払いした管理組合費用を差し引いた金額を組合口座に振 り込むもので、管理組合の財産を事前承認なしに、管理業者に都合よく支出すること を可能にするものです。大手業者の中には、組合口座に振り込むまでひどい場合は1 年以上もかけ、その間そのお金を自社の運転資金などに充てているところもあります。  今回の法律ではまったくふれていませんが、私は、このシステムは原則禁止すべき だと提案しました。提案者からは、管理費用の内訳、使途など明らかにならない会計 処理があれば「直ちに是正する」「マンション管理業務主任者がきびしい管理をする ものと理解する」との答弁がありましたが、これも今後の監視が必要です。

―高層住宅管理業協会の指定法人化問題と自民党への支援活動中止を―

●緒方  もう一つは、管理業者への指導勧告や管理組合からの苦情解決を行う指定団体に厳 格に業務を行わせる問題です。  現在、社団法人・高層住宅管理業協会が有力視されていますが、これまで管理組合 がこの団体にトラブルの苦情をもちこんでもほとんど解決されないという声が強い。 これでは悪質業者などにメスが入るのか、懸念が大きい。また、私は、この団体は、 自民党への支援活動を組織的に行っていることも証拠をあげて指摘し、公益法人とし てふさわしくないので中止するよう要求しました。  これに対し、自民党の提案者は、「公益法人が基幹的意志決定で特定政党を支援す ることは、厳にあってはならないことだ」と明言。公明党の提案者も、「私どもにとっ ても問題だ」とのべざるを得ませんでした。

─最後に、よりよいマンション管理へ、今後どのようにとりくみますか ―

●緒方  日本共産党は、20数年前から各地域でマンション相談会を開催し、管理組合や居住 者のみなさんといっしょに問題解決にとりくんできました。固定資産税の減税や大規 模修繕などへの支援も国や自治体へ働きかけてきました。  「住宅は福祉」という考え方はヨーロッパではいまや常識です。とくに分譲マンショ ンは、都市型住宅としてさらに重要な位置を占めるようになるでしょう。それにふさ わしくマンション居住をより豊かで快適なものにしていくために、今回の法律だけで はとうてい不十分であり、いっそう本格的な支援が必要です。そのためには、区分所 有法をはじめ、宅地建物取引業法、建築基準法など関連法の改正や、新築分譲マンショ ンの青田売り禁止、区分所有者に不利な「原始規約」の制限など新しい法律も求めら れています。  今後とも、良好なマンション管理をめざしてみなさんとごいっしょにさらにがんば ります。

●「マンション管理適正化法」の主な柱

1. 国土交通大臣がマンション管理の適正化に関する指針を定める
○管理適正化のため全国統一的な制度的な枠組みをつくる。
2.マンション管理士制度の新設
○管理士…国家試験による資格を有し、登録が必要。業務としては管理組 合の運営や管理について相談に応じ、助言や指導、その他の援助を行う。
3.マンション管理業登録制度の実施
○マンション業務を営もうとする者は、国土交通省にマンション管理業務 登録をしなければならない。
○管理業者は事務所ごとに、国家試験による試験を合格した管理業務主任 者を置かなければならない。
○マンション管理業者団体(「社団法人高層住宅管理業協会」を予定)は、 管理組合からの苦情解決を行う。
4.マンション管理適正化推進センター(以下「センター」)の設置
○マンション管理の適正化を図るため、センターを設け、次の管理組合支 援を行う。情報及び資料を収集し、管理組合に提供したり、管理者などへ 技術支援を行う。また、苦情処理のために必要な助言を行う。 5.宅地建物取引業者は、管理組合へ設計図書を交付する。
○付則として、三年後の見直しを規定。



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