2009年度板橋区補正予算案に対する反対討論

2010年3月4日
 いわい桐子区議は、2009年度の最終補正予算案にたいして、反対の立場から討論を行いました。
自民党、公明党、民主党・市民クラブ、生活者ネットは賛成しました。

 ただいまより、日本共産党板橋区議団を代表して、議案第6号「2009年度東京都板橋区一般会計補正予算」に対する、委員会決定「可決」に反対し、討論を行います。

 今回の補正予算は、2009年度当初予算の歳入・歳出を、82億2百万円減額し、総額1,665億8百万円とするものです。生活保護扶助費の歳出が11億9千万円の増額、国民健康保険、後期高齢者医療制度の保険料は減少し、特別区民税6億4千百万円の減収となっています。 

これは、厚労省調査でのフルタイムで働く労働者の平均月収が4年連続減少したことや、完全失業者が1年前と比べて46万人増加しているように、景気悪化の影響をうけ、区民の暮らしぶりがますます困難となっていることが浮き彫りとなっています。

この間すすめられた構造改革によって、雇用の不安が広がり、税金や社会保障費の負担増に家計が圧迫されてきました。さらに世界規模の金融不安が追い討ちをかけ、空前の不況と雇用危機が区民生活に重くのしかかっているのです。

 区民の生活実態は、生活保護受給世帯数が10年前と比べて6,280世帯から10,247世帯となり、約2倍に増加しているなど、はますます深刻となっています。

加えて、税制改正によって税や保険料の負担増は急激に加速し続けています。国民健康保険料でみると、65歳以上で年金収入250万円の単身者の場合、年間保険料が平成17年の32,100円から、今年度は117,570円に引きあがり、5年間で約4倍となっています。国民健康保険加入者の多くが、非正規労働者や自営業者、高齢者などです。高い保険料負担は、保険料を払えず保険証を取り上げられ、医療を受ける権利にまで格差が生まれています。

 今、区民の暮らしや営業はどうでしょうか。

小さな印刷会社で働いてきたある59歳の男性は、この3月で定年を迎えます。不況の影響をうけ、会社の営業も厳しく仕事がない状況で、社長は心労と過労でとうとう倒れ、男性が3月に退職しても退職金すら出せない状況です。この先の年金の想定額は月々7万円、家賃は月12万円、働かなければ生きていかれない、しかし退職後の仕事も見つからないことにますます不安は募り、夜も眠れないと話しています。

前野町に住むある家庭では、仕事の忙しさから病気を抱え働けなくなったご主人を支えるためにこどもを保育園へ預け、母親が仕事を始めました。しかし、生活の不安と病気のご主人と向き合いがんばってきたけれど、ついには母親も病気を抱え、安定して働くことができなくなってしまいました。わずかな貯金を取り崩しなんとか生活してきたものの、住宅ローンが払えなくなり、ご主人は昨年末2千万のローンを残して自ら命をたちました。5歳の娘と母親は家を売りに出したものの売れる見通しも持てず、これからの生活に不安を抱いています。

 今やるべきことは、経済危機から区民の暮らしを守り、地域経済を活性化させていくために、度重なる負担増に対して区民への負担軽減と、地元中小零細業者や商店への直接的な仕事起こしです。

ところが、区は、特別交付金の大幅な落ち込みに対応するためにと、昨年11月から、3度にわたって緊急財政対策を行いました。

そもそも年度当初「雇用創出・地域経済活性化総合対策」事業として、行おうとしてきた公共施設地上波デジタル対応も削減の対象としてしまいました。区内中小企業と区民生活を支援し、雇用の創出、就労支援と地域経済の活性化を図るために実施されたはずの「雇用創出・地域経済活性化総合対策」までも削減を行ったことは、区民の期待に背を向けるものであり、目的から大きく後退しています。

 経済活性化の要となる産業振興推進費が当初予算9億4千万円に対して1割減額の1億1千万円も減額されていますが、これは単なる「実績減」で済まされる問題ではありません。不況に対しての有効な手立てが取られていなかったことを示すものです。

 なかでも中小企業支援として期待された産業融資の利子補給は5千5百万円も減額されています。これも「実績減」を理由にしていますが、融資条件の緩和など、「使いやすい融資」に改善する努力が求められます。区側は「融資も確かに有効だが、それ以上に仕事を回してほしいというのが中小企業の願い」だと答弁しています。だとしたら、積極的な仕事おこしこそ、いま板橋区がやるべきことです。

加賀児童館など児童福祉施設や橋梁塗装などの必要な補修経費も削減してしまいました。このことは、「仕事がない」と悲鳴を上げている業者に、さらに仕事を奪う事態を生み出しています。凍結した地域センター消耗品の購入でも、消費を引きあげ地域経済を活性化させる考えからは逆行するものです。「雇用創出・地域経済活性化」と言いながら、一方では通常行うべき事業も削減していては、その効果を損ねるものです。

そもそも、区は緊急事態と言ってお金がないことを声高にアピールしてきましたが、緊急財政対策で、21年度削減した51億3,556万8千円のうち、約50億円は、人勧の完全実施による人件費の削減、契約差金、事業の未執行など実績減です。これらは結局、緊急財政対策を行わなくても生まれた減額となる額です。11月の時点に比べ財調交付金は、見込みより22億円増えたのですから、当初予算に組んでいた、1億4, 800万円の本来行われる事業の縮小は、行わずに済んだはずです。しかも、そのことは、12月の時点で見通すことができていたのですから、事業の縮小を中止する判断を行うべきだったと考えます。

こうした政治判断ができなかった区長の姿勢は、これほど困窮し救いを必要としている区民を裏切るものです。

また、庁舎南館の改築問題では、今回の見直しによって移転先ビルの賃貸契約が中途解約もできず、3年半で5億3千万、毎日42万円の家賃を払い続けなければならない契約であることが明らかとなりました。財政難を理由に区民への必要な事業まで縮小し、今こそやらなければならない区民生活への手立ても行わず、こうした多額の無駄が発生したことへの区長の責任は重大です。

日々、生きていくことすら困難となっている区民の暮らしに寄り添い、なんとか踏ん張って営業を続けている業者の人たちへ希望を与える事業に正面から取り組むことを求めて、私の討論を終わります。


日本共産党板橋区議団