老人医療センターと豊島病院は「都立」で存続を!

ふるだて和憲都議会議員が都議会で文書質問


<文書質問>04.6.14   日本共産党・古館和憲(板橋区選出)

都立老人医療センターと豊島病院について

 街の声は都立のままの運営をのぞんでいる

「都立病院改革マスタープラン」で、都が「板橋の老人医療センターと豊島病院を統合・民営化」の方針をうちだして以降、板橋ではこうした計画にたいして、住民はもちろん板橋区、区議会、区医師会などが、「老人医療センターは『今のままで存続を』」という声を一致してあげています。

また、豊島病院についても、現在、区移管の可能性について協議がすすめられていますが、そのベースにあるのが区民・医療関係者の間から「都立での存続」の声の強さ大きさです。実際に、街の声は都立のままでの運営を望んでおり、「区が引き受けて民間委託」をとの方向性を望んでいるものでは決してありません。

0四年度第一回定例会で、石原知事が「老人医療センターについては民営化する」との方針を明らかにしましたが、改めて豊島病院も老人医療センターも、これまでどおり都立都営での存続が、都民の期待にこたえるただ一つの道であると考えるものです。

都立老人医療センターは『都民の宝』

都立老人医療センターは、百三十年の歴史をもつ「福祉の殿堂」である養育院の中核施設として、老人総合研究所、ナーシングホームなどの老人ホームと連携した三位一体の施設として、都民ばかりか全国的にも大きな役割を果たしてきました。

都立老人医療センターの最大の特質は、高齢者一人一人に最適な医療を行うために、欧米ではすでに取り入れられ、老人医療の中核となっている「全人的包括的医療」である「チーム医療」に先駆的に取り組んできていることです。この「チーム医療」、いわゆる全人的包括的医療は、診療報酬ではほとんど評価されていないため、民間の医療機関では取り組まれていないのが実態です。しかし、「チーム医療」を積み重ねていくことによって患者さんの社会復帰が早まり、経営面でもメリットが生まれ、老人医療費の引き下げにも貢献することが都立老人医療センターの実践のなかで証明されています。

こうした「チーム医療」は、一昨年「第二の老人医療センター」などと都がもちあげて開設された東京都江東高齢者医療センターでも行われなかったどころか、今年から、都が病院そのものから手を引き、順天堂病院にまるごと貸し付けるなど、老人医療センターで築いてきた高齢者医療の成果それ自体を継承するものではまったくないことがはっきりとしました。

都立老人医療センターが国立長寿医療センターを生んだ

今年二月十九日、私もふくめた共産党都議団は、愛知県大府市の国立療養所中部病院を調査視察してきましたが、国では高齢者医療の位置づけをさらに高めて、今年三月一日から、この中部病院を国立長寿医療センター・長寿医療研究センターとして、機能・規模をいっそうバージョンアップしてスタートさせました。

この国立長寿医療センターというナショナルセンターを立ち上げるにあたって、0一年八月に、国が「第一回長寿医療に関する基本計画検討会」をもちましたが、そこで折茂肇都老人医療センター院長(当時)が、「長寿医療」について基調報告的な発言をするなど、国立長寿医療センター・長寿研究センターが都立老人医療センター、都老人研究所の研究・実践成果などを取り入れられながらスタートしたことは、「包括医療部(チーム医療)」などが設けられたことなどからも明らかです。

多忙のなか応対していただいた太田壽城長寿医療センター院長は、全国で「長寿医療機関」として単一なのは、「これまでは、東京の板橋老人医療センターと多摩老人医療センターしかない」と話され、さらに「ナショナルセンターとローカル医療との関りについて」の問いに対して、「長寿医療の対象者は、高齢者患者であり、広範囲には動けない。したがって、ある地域で完結できるモデルが必要」であること。「地域モデルをつくることが、結果として地域医療に貢献するとともに、他方で長寿医療の確立、臨床や基礎研究に生かしていける」「ナショナルセンターだからこそ、地域のなかでしっかりした仕組み、地域モデルをつくっていかなければならない」と、明確にのべられたことは私の強い印象でもあり確信ともなりました。

都立都営での運営は、区・区議会・区民の一致した願い

国がようやく重い腰を上げて、国立の長寿医療・研究が連携したナショナルセンターを立ち上げたときに、都立老人医療センターを、民営化して、その成果を雲散霧消させては絶対になりません。老人医療センターを都立直営で存続し、老人総合研究所と老人ホームとの三位一体の連携を強化し、愛知県大府市の国立長寿医療センターとともに大きな役割をはたすことこそ、二十一世紀の高齢者の医療の進むべき方向であると確信します。

Q一、昨年六月には、板橋区議会が議長、副議長、地元板橋の都議会議員とともに都議会議長にたいして、老人医療センターは都立として存続することを文書で申し入れました。「都立としての存続は」板橋区長をはじめ、文字通り超党派的な要求となっている。この板橋区長、板橋区議会の一致した意向を尊重すべきではないか。

Qニ、都立老人医療センターについては、老人総合研究所、ナーシングホームなど老人ホームとの三位一体の施設として、世界的にも注目され、国立長寿医療センター・研究所の設立にも大きな影響を与えている。都立老人医療センターの全国的役割、とりわけ高齢者医療にはたしている、都立としての役割がいよいよ重要になっていると考えるがどうか。

Q三、「当初の豊島病院との統合民営化」方針を、事実上修正せざるをえなくなったなかで、知事が一方的に「老人医療センターの民営化」を表明したが、「なぜ民営化なのか」「直営ではなぜだめなのか」の説明がない。なんらまともな検討もないままだされた民営化方針は撤回し、二十一世紀の高齢者医療、研究に都立老人医療センターがはたすべき役割について、都民と高齢者医療研究の専門家、地元板橋区と区医師会などの関係者が参加して、十分に検討すべきと考えるがどうか。

板橋の病床数は都内最大。
豊島病院*都立だからこそ地域医療連けいがうまくいっている

都立豊島病院については、都と板橋区との間で区移管についての協議会が設置され議論が始まっています。ところが、その協議の主たる内容が、区移管の時期、区移管後の病院の運営形態、土地・建物・医療機器などの資産の取り扱いなどとなっています。この検討にあたって基軸にすえなければならないのが、「公立の病院としてどのような医療を行うことが必要か」ということです。

いうまでもなく、公立病院の役割は、第一にその地域で不足している医療分野に責任をもつ。第二に都民・区民とりわけ低所得者や障害者、難病患者などの患者に対して医療をうける権利を保証する。第三に民間ではなかなか担いきれない不採算医療に責任をもつ。第四に、医療僻地への医療の保証を行うことなどです。このことを抜きにして,区移管だけを先行させることは、決してあってはならないことです。

いま、板橋での自治体運営の病院を考える際に念頭に置くべきものが、都内で一番病床数が多い地区が板橋区だということです。その病床数第一位の板橋区が、例えば、豊島病院で現在、一般小児ベッド数が三0床あるのに、区の小児医療についての計画では、その二倍の六0床に増床したうえで、病床利用率も九五・一%とほぼ満床になることを見込んでいます。しかし、現在の都立豊島病院が年間通じてほぼ満床なのは周産期のNICU,GCUであって、一般小児ベッド三0床の利用率が六五%程度となっています。一般小児で、無理やり利用率を高めようとすると、区内民間医院等の小児科を直撃することになりかねません。

豊島病院が不採算医療「行政的・重点的医療」になっている

板橋区内の地域医療連携が良好なのも、不採算医療といわれる行政的・重点的医療を都立都島病院が行ってきたからです。豊島病院がおこなっている精神科救急は、都内四カ所でしかやられていない。感染症は城北ブロックでは唯一で、お産から新生児治療までの一貫した新生児治療・未熟児室を備えた周産期医療のセンター機能や、都内初の末期がん患者の緩和ケアなど、各界から注目されている医療を行っています。これは都立だからこそできるのではないでしょうか。

「区立病院」構想について区側が、区議会でのわが党区議の質問に対して、「依託がいい」との意向をしめし、直営での運営を否定し、お金のかかる行政的、重点的医療については消極的な見解を表明していますが、これらは本来、都が責任をもってやるべきものであり、区が運営する病院では担いきれないものだからです。

区が委託した病院が、行政的・重点的医療を行わないで、九0%のベッド利用率(現豊島病院は八六・九%)を実現しようとすれば板橋区内の民間病院、医院の診療と競合し、かえって地域医療連携を破壊することになりかねません。

改築オープン直後の都島病院は、「完全紹介予約制」の過度な宣伝で、改築前よりも都民が以前よりもかかりづらくなった事態に対しても、地域住民などとともに、「いつでも誰でもかかれる病院に」という方向へと、かなり是正され、現在に至っています。民間ではやりきれない不採算部門、行政的・重点的医療を率先して担っていくことにこそ公立病院が担う役割があります。

医療の質を低下させないためには『都立での存続』が必要

都内一番のベッド数をもっている板橋で、都立病院が担っている行政的医療、重点的医療を、引き続き都民に保障することこそ、いまもっとも求められている物と確信します。そこで伺います。

Q一、都立豊島病院の行政的医療・重点的医療こそ、都民・医療関係者、とりわけ板橋をはじめ城北地域において、なくてならない必須条件であり、今後とも必要不可欠なものだと考えるが、どうか。

Qニ、直営でこそ、こうした都民的な役割が発揮できるものであり、直営での存続を図るべきだと考えるがどうか。 

文書質問に対する都側の答弁書は、次回の都議会(9月)で明らかにされます。

日本共産党板橋区議団