なぜ、補正予算案に反対したのか!


               討論者:松崎いたる区議

予算補正は本来、施策の充実のために組まれるべきであり、施策の切捨てのための本案は、自治体としての魂を失った本末転倒の補正予算であるといわざるをえません。

議案第66号 平成16年度東京都板橋区一般会計補正予算(第2号)に対する反対討論

 議案第66号 平成16年度東京都板橋区一般会計補正予算(第2号)に反対する立場から討論をおこないます。

 今回の補正の第一の問題は、「学校適応推進事業および区立学校適正配置推進に要する経費」と称して、1千万円の予算が計上されていることです。

その内容は、父母や子どもたちの「存続させてほしい」という強い願いに背を向けて、区立若葉小学校を廃校にするための予算です。

 若葉小学校の、存続か廃校かの問題は、今定例会においても、存続を求める陳情書が提出されているように、父母と区との話し合いが継続中という段階であり、決着はついていません。

 父母らは誠実な話し合いを求めていますが、廃校を急ごうとする区の一方的な姿勢に、不信を募らせています。

 保護者説明会において、区は「学校選択制の導入も踏まえ、」廃校計画をすすめると表明しましたが、これは、これまで「適正配置の実施を学校選択制の目的にしない」としてきた区民との約束を区が自ら破り捨てるものです。

 また「審議会答申の小規模校下限基準以下だから」という説明も、審議会が、いったいいかなる科学的な根拠をもって決めたのか、その肝心な部分をうやむやにしたままであり、父母を納得させるにはほど遠い、廃校を一方的に押し付ける主張でしかありません。

 さらに、若葉小を守り、発展のために努力してきた父母らの「『子どもが少ないから』というならば、区教育委員会は、児童数を増やすためにいったい何をしてきたのか」という、叫びともいえる問いかけにすら、区はだんまりを決めこむばかりです。

 文教委員会の質疑のなかで区は、これまで父母に対する説明が不十分であったことを認め、「今後の教訓とする」と答えていますが、この反省は「今後」にではなく、いま継続されている父母との話し合いにこそ生かすべきです。

 板橋の教育をどう支え、どう発展させるかを展望するうえでも、地域の学校づくりに力をつくしてきた人たちとの、信頼と協力の関係をつくっていくことは重要であり、けっして切り離すようなことはあってはなりません。

 にもかかわらず、区が今回、廃校のための予算を計上したことは、廃校計画を既成事実にしようというものであり、存続を望み、誠実な話し合いを求める父母との信頼を決定的に壊すものです。

 今回の廃校のための予算には、子どもたちの「心のケア」が計上されています。母校がなくなることによる心の痛手をカウンセリングによって癒そうというもので、父母からも要望があったともいいます。子どもを守りたいという親の思いのあらわれですが、区が本当にこの親の思いをくみ取るのならば、「心のケア」が必要なほど、子どもに過酷な精神的負担を負わせる廃校計画を拙速にすすめるべきではありません。子どもの心を傷つけることを前提にした計画は、教育という営みと相容れるものではないことを強く指摘するものです。

 

 今回の補正の第二の問題は、出張所の廃止・縮小を強引にすすめるための予算であるということです。

 住民票などの自動発行機の導入のための予算が計上されていますが、これは出張所の廃止・縮小を前提にしたものであり、総務委員会での答弁にもあるように、現在ある18カ所の出張所の存続と、財政的に両立しえないものであります。

こうした予算を容認すれば、出張所の廃止を既成の事実にしてしまうことになり、今定例会にもたくさんの陳情が寄せられているように、出張所の存続を求める多くの区民の願いを踏みにじることになってしまいます。

そもそも、出張所の廃止・縮小の計画について区は、区民への十分な説明をおこなっておらず、区民の要望や不安になんら応えようとしていません。

区民の疑問と不安になっているのはまず、生活に密着した総合相談窓口としての出張所が縮小されてしまうことです。

地域で暮らしていくうえでのさまざまな問題について、相談に応じてくれる出張所は、区民に安心と利便性を与えるかけがえのない施設です。これが、身近な地域からなくなってしまうことは、多くの区民に深刻な影響を与えかねません。

区は代替案として、区民事務所と地域センターを置くとしていますが、設置個所が、現在の出張所の3分の1に減らされてしまい、そのうえ、具体的な業務内容、事務内容がはっきりと示されておらず、区民の疑問と不安にこたえるものとなっていません。

現在の出張所には自動交付機を置くとしていますが、操作するには事前に専用のカードを作成する必要があるうえ、機械の操作に不慣れなひとは結局、遠くの庁舎まで足を運ばなければなりません。

相談業務は地域センターで展開するといいますが、人的配置が大きく減らされるなかで、これまでどおりの相談ができるかどうかは、はなはだ疑問です。

これでは、区民サービスの著しい後退だといわざるを得ません。

 このほかにも、出張所がこれまで担ってきた青少年健全育成活動や防災の拠点としての役割を今後どうするのか、なんら具体的な展望が示されていません。

 このような状況で、出張所の廃止・縮小を財政的に決定づける今回の補正は、区民を置き去りにした見切り発車というべきものです。

 

今回の補正は、教育・暮らしの分野で、区民施策を切り捨てようとするものであり、区がすすめる「経営刷新」と一体のものです。これまで区は、「経営刷新」の目標は、「収支均衡型の財政運営」であるとし、そのために、「区民にも痛みを負っていただくのだ」といってきました。

しかし、9月に発表された「板橋区財政白書」では、景気回復の度合いによって、収入が増加し、財源不足を補ってなお余剰となる場合は、「基金への積立を積極的におこなう」としており、総務委員会での答弁でも「収支均衡の達成だけでは足りない。十分な基金がなければならない」と明言しています。

これでは、区民が痛みに耐えて、「経営刷新計画」の目標を達成しても、さらになお過酷な痛みを負わされることになります。

いま、区民が求める財政運営は、こうした際限のない痛みの押し付けではなく、国や都の悪政による痛みを和らげることであり、まだまだ深刻な不況から区民の暮らしを守ることです。

 予算補正は本来、施策の充実のために組まれるべきであり、施策の切捨てのための本案は、自治体としての魂を失った本末転倒の補正予算であるといわざるをえません。

 以上の理由により、本議案に強く反対し、討論をおわります。

 


日本共産党板橋区議団