日本共産党板橋区議団の本会議での討論

10月17日、板橋区議会本会議で、日本共産党は4件の反対討論を行いました。

区立加賀保育園を民営化するための、土地の無償譲渡、建物等の無償貸付をする条例改正案に対する反対討論

討論者:熊倉ふみ子

 

ただいまから、日本共産党区議団を代表し議案77号「普通財産の無償貸付けについて」「議案78号普通財産の無償譲渡について」を可決とする文教児童委員会報告に反対の立場から討論を行います。

この条例は加賀保育園を民営化するために、区民の財産である土地と建物を無償で貸付、無償譲渡する条例案です。無償貸付、無償譲渡を是とするか否とするかは何を目的とするか、その合理性はあるかどうかにかかわります。加賀保育園の民営化が保育所サービスの充実を目的とするなら、なぜ民営化をすればサービスが充実するのかを、少なくても加賀保育園の父母に十分に理解される必要があります。なぜなら、民営化問題は現在の保育に満足している父母からの要求ではないからです。ですから区と保護者の話し合いを、始めから民営化を所与の前提として推し進めれば、父母の選択肢はありません。あきらめて民営化によるわが子への負担をどう軽減できるかという気持ちになるのは当たり前です。区は三者協議を行いながら進めてきたと説明しますが、保護者の気持ちは、「疲れている」という言葉に区との関係が端的に表れています。保育サービスを今より充実させようという区の説明に、なぜ父母が疲れてしまうのでしょうか。自らの行政経営の都合で、その手法を無理やりに区民に押し付けることを民主的とは言いません。

また、プロポーザルでの選定は客観的な基準によって公正な審査に基づいて行われたから、移管先決定に裁量の逸脱がないと区は主張しますが、その根拠が第三者によって証明されているわけでもありません。少なくても選定は、保育水準の現行を保ち、なおかつ今以上の保育についての現実的実践が十分に予測される事業者間の選考でなければなりません。公正な審査とはこうした事業者間における手続きでなければならないのに、なぜまともな事業実績がない渡辺学園が参入できたかという点だけでも、区の裁量の逸脱・濫用についての疑問が起こるのは当然です。この疑問に区はまともに答えたことはありません。

経営主体が区立から私立へ変更されても、社会福祉法人としては変化がなく「保育所」としては間断なく存続していると区は主張しますが、問題はそこではありません。横浜地裁の判決文にもあるように、入所時の保育所の選択は、入所時だけの問題ではなく、必然的に入所後における継続的な保育の実施を要請するということの、その内容です。「継続的な保育の実施」とは保育内容そのものに断絶がないということなのです。保育士が突然と全員入れ替わるような事態は異常なことであり、これをもって「継続的」な保育サービスと言うのはごまかしでしかありません。保育は、経験により蓄積するものが多く、若いバイタリティと柔軟な発想も必要ですが、経験を生かす場面が大変多いのです。また保育は職員全員のチームワークによって支えられており、それは長い間の経験と保育実践の積み重ねによって蓄積されたかけがえのない財産でもあります。渡辺学園は保育士の配置計画については人材バンクがあると言ってきました。その配置計画はようやく九月に一年分の計画を出すありさまです。したがって保育内容についての説明も保護者に十分に説明できていません。大阪高裁、横浜地裁の賠償命令判決にかかわった引継ぎ期間問題についても不安が広がっています。区の保育士による信頼され試されずみの保育実績にかわる、より質の高い保育サービスを民営化で行うというには、あまりにも説得力がありません。子どもと保育者、保護者と保育者との関係も一から作り直しです。最初から望ましい保育を提供することは不可能です。私自身の 板橋区 での公立保育園での保育士の経験からいって、これは大変なことなのです。保育サービスの充実ではなく後退になりかねません。

全国で進められた公立保育所の民営化によって、子どもの怪我が多くなった、保育士が過労でやめていくなどの問題があちこちで起きています。 板橋区 もまた「民営化による保育所サービスの充実」といいながら、子どもたちに大きな不安を作り出し、保育士でさえ過労で追い込まれる可能性を完全に否定することはできないはずです。それは民営化後の社会福祉法人の責任であり、区の関与は限られているからです。

土地と建物は区民の財産です。それを無償譲渡、無償貸付するに値する合理性は、以上述べた理由から存在しないと判断します。これをもって私の討論とします。


区立教育科学館を指定管理者に委ねる条例改正案に対する反対討論
討論者:大田伸一

議案第76号 東京都板橋区 教育科学館条例の一部を改正する条例案に対し討論を行います。

反対する理由は、第一にイベントをはじめとした事業の有料化が避けられないことです。有料化によって起こることは、現在は子ども同士で行って気軽に科学への興味や知識が得られたのに対し、今後はお金を払わなければその機会が失われる可能性があるということです。科学的知識の享受はどの子にも等しく与えられなければなりません。学校教育で直接学ぶことのない内容を伝えることを目的とした事業であるのに、ある者は有料制の故にその場から立ち去る事態が生まれます。結局、教育の機会均等の原則は学校教育の内部に限定されることになります。

第二に、専門性の蓄積が希薄になります。指定管理者がビル管理会社であれ人材派遣会社であれ、出版社であれ、専門性とはマニュアルに基づくものでしかありえません。マニュアルのノウハウと科学的知識による専門性とは別の事柄です。子どもの様々な疑問に答えるには応える側の蓄積が必要ですが、指定管理者の運営にそれを望むのは事実上困難だといわなければなりません。

第三に、指定管理者制度を導入するにあたって、経費削減と集客力への期待しか検討されていません。従って学校教育との連携体制や科学指導員の確保などについても今後の検討事項とされています。しかし、事業のもつ性格からこうした検討が事前により具体的に検討されていてしかるべきです。なぜなら、事業の目的に係るからです。新たに生涯学習の規定を盛り込んでも同じです。

指定管理者が管理運営を代行するのは、そのことによって利潤が得られるからです。人件費の抑制や各種事業の利用料金、物販などがそれにあたります。しかしそこに学校教育との連携や科学指導員配置などについて、行政の指揮系統が混在すれば、指定管理者は事業全体の管理運営を代行することになりません。勢い、指定管理者は教育科学館の事業目的の外部的要素すなわちイベント等に集中し、きわめて短期的な利潤確保に傾くことは避けられません。

第四に、そもそも教育科学館のような教育施設の運営が指定管理者制度に馴染むのかという議論もされていません。つまり導入の可否についての検討がこの事業の特性を踏まえたものになっていません。そのため、将来の発展方向が短期的な要素に限られ矮小化されています。教育科学館の事業の発展方向とは、子どもはもちろん区民各層の要求に多面的に応える事業内容をどう豊かにできるかを模索することにあります。単独館での自己完結型的な運営には限界があるのです。新潟県が関連施設や関連事業のネットワーク構築を検討し、指定管理者ではなく、直営でこそ教育科学館事業の発展を展望できると結論付けたことは、何を議論すべきかが示唆されており重要です。

総じて、教育科学館の管理運営を指定管理者に委ねることは、事業の目的にふさわしい選択とはいえません。低賃金の労働によって労働意欲が高まらないのは自明であり、「民間活力」の内実がこうした劣悪な労働条件に支えられている実態を直視しなければなりません。教育科学館に係る区の経費削減は、民間企業の利益優先による公共性の喪失という危険を伴っています。その視点こそ制度導入にあたっての肝要です。議会もまた条例案の可否の判断はこの点に深く係らなければなりません。条例案はその検討があまりにも不十分です。以上を討論とします。


区議団の条例改正案「生まれる前からの児童手当」条例案の否決に対する反対討論
討論者:竹内愛

 

ただ今より、日本共産党区議団を代表し、「議案第86号  東京都板橋区 生まれる前から児童手当の支給に関する条例」の委員会決定「否決」に反対し、討論を行ないます。 この条例は、児童の権利に関する条約や次世代育成支援対策推進法等の趣旨を踏まえ、児童がその人格の完全な、かつ、調和の取れた発達を実現できるようめざすもので、妊娠した時から始まる次世代育成に対し、若い世帯が安心して子どもを産み育てることを願って提案されました。妊娠期間は、親子の関係を築くために、とても大切な時期でもあります。その時を、社会全体で支えることは、若い子育て世帯にとっても大変心強いものです。さまざまな子育てに関するアンケート調査でも、経済的な理由から子どもが産めないと考えている人が多いことが明らかになっています。ところ が板橋区 は、自ら行なってきた、新生児誕生祝事業を廃止し、保育園,幼稚園、学童クラブの自己負担引き上げを行い、子育て支援全体を見ても、お金を払わなければ利用できないサービスの拡大など、とても経済的不安に応える立場にたっているとはいえません。子どもは社会の宝というならば、子育て世帯がそれを実感できるような環境づくりこそ必要ではないでしょうか。委員会審議でも、かかる費用の話に終始しました。私は、新しい命をみんなで大切に育もうとするのに、1億3500万円という経費は、決して不必要な費用ではないと考えます。また、「妊婦健診の充実を進めればいい」という意見もありましたが、妊婦健診は、当然無料にすべきで、本条例の意図するところは、健診の充実とは別のことです。当たり前のことですが、この条例の目的は、生まれてくる子どもの人格や人としての権利を守ることにあり、さらに、経済的なことで、子育てに不安を感じる人への支援としても、とても有効な制度であると考えます。よって、文教児童委員会の「否決」という決定に反対し、討論を終わります。


日本共産党板橋区議団