10月30日、広山利文議員が日本共産党区議団を代表して、2005年度決算に対して討論を行いました。
広山利文議員

ただいまより、日本共産党 板橋区 議団を代表して、報告第1号2005年度 東京都板橋区 一般会計歳入歳出決算、ならびに第2号国民健康保険事業特別会計、第3号老人保健医療特別会計、第4号介護保険事業特別会計の3特別会計決算の「認定」に、反対の立場から討論を行います。政府の連続する税制の改悪、医療や介護などの負担増により、区民の暮らしは大きく落ち込んでいます。日本共産党区議団が最近行ったはがきアンケートでも、「苦しくなった」と答えている人は50歳代、60歳代では7割を超えています。 板橋区 の生活保護世帯は、2005年度8670世帯、12236人となり、憲法で定めた健康で文化的な生活を営む最低限度の基準以下の世帯が増えつつあります。また2005年度の区立小学校の就学援助率は35・90%、中学校は40・28%となっています。区民生活の中に、「貧困」が重く大きく広がっているのではないでしょうか。こうした区民の実態にも関らず、区は刷新計画を続け、さらに第2次の刷新計画を進めようしています。2005年度は、その刷新計画の第2年度、本格実施となった年度であります。刷新計画による実績は、合計で23億32百万の効果額とされています。しかし区民にとって、行政が暮らしを支えてくれたのか、サービスを向上させたのか、区民参加が貫かれたのかなど、改めて区民の立場で検証されなければなりません。

まず第1に、民への開放は何を区民にもたらしたでしょうか。

福祉分野の民間開放は、利用者を苦しめる結果となりました。直営で行われていた加賀福祉園の利用者は、指定管理者制度導入で、施設の職員全員が入れ替わり、自立支援法の影響とも重なり、二重、三重にも大きな負担を負うものとなりました。引き継がれた法人の職員は37名中、経験のない8名を含め84%にのぼる31名が、2005年12月以降の採用という中で、引継ぎ期間4ヶ月での移行では、利用者から「つまらなくなった」「声をかけてもらえない」などの不満の声があがるのも無理からぬことです。決算総括質問で区は「3年は見守って」などと答弁しました。区のために我慢せよと言うに等しいものです。3年間も見守ることが必要な法人の運営に対して、区が利用者やこれまで福祉園を支えてきた地域に、負担をかけない取り組みこそが求められています。このように指定管理者制度導入は、「福祉」の水準を低下させました。

 保育園の民営化についてはどうでしょうか。

最大の利益を得るべき子どもとその父母が、民営化すればサービスが充実することを理解し、納得できることが最低の条件です。保育の実績、経験のない学校法人を当初から選定し、本契約までに社会福祉法人となっていればよしとした区の姿勢は、父母、区民に不透明さと、区のために民営化ありきという姿勢を印象付けるものとなりました。こうした苦しい選択を区民に迫ること自体まちがいであり、区立保育園は区立として守り、更なる充実こそすべきです。

第2は、区民への負担増と、サービス低下の問題です。

刷新計画で、保育園・幼稚園の保育料などを値上げし、収入率の向上を目標にしたことが、多くの子育て世代を苦しめました。障害者の福祉園に、利用者の出席率に応じた職員配置基準を導入したことは、福祉園の経営を圧迫し、職員の労働条件の後退につながり、つまりは水準の低下をもたらしました。障害者福祉施策でもうひとつ指摘されることは、障害者自立支援法の下で広がるさまざまな実態に対応し、ようやく実施を決めた区の独自軽減事業のさらなる拡大と、応益負担を見直すことを国に強く意見すべきことも、指摘しておきます。

介護保険制度の導入以降、高齢者の負担は膨らむ一方でした。ところが、区はこの間「敬老金支給制度」の廃止、「敬老入浴事業」には自己負担を導入、と、さらに負担をもたらす計画を進めてきました。そのうえ2005年度は、地域に住む高齢者からは存続を求められていた「大山西町いこいの家」を廃止しました。10月には、介護保険制度の見直しで、施設介護だけでなく、居宅介護サービスでも食費の自己負担が導入されました。他の自治体が実施したように、一般会計から自己負担にかかる負担を少しでも軽減する施策がとられるべきでした。この間の税制改革の影響や、区の介護保険料の引き上げなどがさらに大きく高齢者の暮らしに負担増となっていることを見るならば、一日も早く何らかの軽減事業、あるいはくらしを支える現金給付事業の実施などが求められています。

衛生費においても、区の刷新計画が大きな影響を与えました。そのひとつが精神障害者の夜間ケア事業が完全に廃止されたということです。利用者や関係団体は、「存続を強く求めていたにもかかわらず、なぜ削らなければいけないのか」と、必要としている施策が突然削られたことで、区への不信感が広がりましました。05年度決算で、実績が大きく減ったものに、「プール利用健康回復事業」がありますが、その実績が減ったからと、今年度の予算で廃止されました。何よりも大切な区民の命と健康を守る事業は、実績の増減に関わらず守られるべきであり、他に変えられるものではありません。

また、自転車駐車場の定期利用登録料や使用料、撤去手数料の値上げにより、定期利用が17930台減少し、当日利用が118173台の増加となりました。撤去台数も増え、返還率の低下もきたし、値上げによる新たな矛盾を引き起こしました。

加えて、決算総括でも明らかにしましたが、区が「ホームレス自立支援事業」を特命随意契約で委託をしているNPO法人との契約の問題です。法人との契約の経緯が不明なこと、また雇用された人の労働実態は、劣悪なものであることが明らかになりました。改めてその法人との関係をあきらかにし、労働実態の把握を行うよう強く指摘をしておきます。

多くの反対意見を無視して進めた出張所の統廃合の結果、いまなお区役所や区民事務所の窓口では、区民の不満や戸惑いの声があふれています。区は代案として自動交付機の設置をすすめていますが、これはあくまでも予備的な役割にすぎず、交付機を使うためのカードを別に取得するという、新たな負担を区民に強いることになりました。「親切行政」に逆行しています。出張所の統廃合は、区民サービスを切捨てるものとなりました。

また、学校選択制の実施では、小規模校を作り、統廃合、学校の序列化という弊害を生み出しました。学校の統廃合は、地域のコミュ二テイーへの影響が大きいにもかかわらず、保護者への説明も、区が、決定を一方的に押し付ける立場に終始したことは、マスコミにも取り上げられるところとなりました。不登校児童・生徒が減っていないことは、これまでの取り組みが不十分であることを示しています。いじめ問題も、事実を隠すことなく現場の実態に即した、真剣な取り組みが求められています。

 第3は、刷新計画に聖域を設け、「例外」として事業をすすめている上板橋駅南口再開発計画の問題です。

旧公団用地が、投機の対象となりました。このような事態を容認する区の責任は重大です。巨額の税金を投入する再開発計画を利潤追求の道具とすることは、根本において、区民が求める「まちづくり」の公共的目的とは相容れるものではありません。

第4に、平和の問題ではどうでしょうか。

05年度は国民保護計画を準備した初年度でした。しかし最近実施された「保護計画」のパブリックコメントでは、全て「必要なし」の意見です。区民の平和を強く願い、同時に「区民参加」というならば、こうした区民のパブリックコメントに寄せられた声を反映させるべきではないでしょうか。

以上述べてきたように、刷新計画においても、上板の再開発問題においても、平和の問題においても、全てに共通して貫かれた区の姿勢は、区と違う区民の意見は聞き入れないという、区民参加を否定していることです。

最後に、3特別会計についてであります。

命と健康を守る保障となるべき国民健康保険事業特別会計については、保険料が値上げされ、くらしへの影響が大変心配されたにもかかわらず、刷新計画による「収納率」引き上げが、最優先課題として追求さたことで、「区民のくらしを守る」自治体の姿勢として、大きな問題を残すものとなりました。国保料の滞納者は全体で、加入者の23.3%にものぼっています。区は、短期証や資格証の発行などのペナルティで、滞納対策を進めていますが、払いたくても払えない区民のくらしがあることをしっかり見すえて、払える保険料にすることこそ最優先で行うべきです。またその資格証明書発行世帯の中に、乳幼児医療費助成を受けている子どもが124人いることも明らかになりました。資格証明書の発行によって、この子たちの命を脅かすことがあってはなりません。                           

老人保健医療特別会計については、医療制度の改悪の影響が顕著に出ました。老健対象年齢が引きあがっていくことで、自然と対象者数は減っていっているにも関わらず、歳出総額は04年度と比べて増えています。受診件数も減っているにもかかわらず、増えた背景には、1件あたりの医療費が増えたからです。本当に医療費を下げたいと思うならば、自己負担を引き下げ、早期治療を可能にすることです。また、他の自治体でも取り組まれている世帯主医療費助成制度や、見舞金制度など、少しでも負担を軽くし、早く医療機関にかかることができる施策の実施が必要です。

介護保険事業特別会計についてですが、厳しくなるばかりの高齢者の暮らしを支え、そして必要な介護を保障できる制度への改善が急務です。ところが政府が行った制度の見直しは、いかに介護にかかる経費を下げるかが優先であったため、さまざまな問題が残され、また見直しにより新たな問題まで噴出している状況です。05年度は、10月1日から介護施設への「ホテルコスト」「食費」の自己負担が導入されました。区内の老健施設では、自己負担額に耐えられないと、退所せざるを得ない事態が生じました。

一方、各施設では、食事の介護報酬額が一切なくなってしまったことにより、冷凍食品やレトルト食品を増やし、調理の人を減らさざるを得ない実態が広がっています。さらに居宅介護でも、デイサ−ビス、通所リハビリ、ショートステイで自己負担が膨らみ、お金の切れ目が介護の切れ目・・・という言葉がささやかれています。 板橋区 は、保険者として、保険料の独自軽減の要件緩和、利用料の独自軽減事業の実施、ホテルコストや食費などへの保険外負担に対する軽減施策など、求められている施策はたくさんあります。

以上、2005年度の決算は、国政・都政によるさまざまな負担増から区民を守る、「とりで」としての自治体の役割どころか、刷新計画のもと、区民の暮らしをさらに圧迫し、サービスの低下をきたし、区民参加と透明性、公正、公平性を欠いたものといわざるを得ません。

よって報告第1号、2005年度 東京都板橋区 一般会計歳入歳出決算、ならびに第2号国民健康保険事業特別会計、第3号老人保健医療特別会計、第4号介護保険事業特別会計の3特別会計決算の「認定」には、反対すべきものであることを申し上げ、討論を終わります。


日本共産党板橋区議団