もうこれ以上、国保料を値上げせず、引下げこそ必要です。

2010.3.26

 ただいまより日本共産党板橋区議会議員団を代表して、議案第32号「東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する委員会決定「可決」に反対し、討論を行います。

  本議案はひとことでいえば保険料を引き上げることを決定するための議案です。医療分では加入者すべての人が支払う均等割り額は今年度に比べて2700円引きあがり、3万9900円に。さらに40歳から64歳までの被保険者には介護分の保険料も入るため、介護分均等割り額900円が引きあがり12000円になります。また課税世帯にかかってくる所得割率も引きあがり、40歳から64歳までの被保険者では均等割り額だけでも医療分・介護分合わせて今年度対比で7.45%の負担増となります。医療分だけで見るならば、板橋区の一人平均保険料調定額は8万4679円と約5%の引き上げです。

なぜ値上げをしなければいけないのか、その背景にある要因が反対の第一の理由です。

 まず引き上げの一つの要因が診療報酬の引き上げ0.19%にあります。本来こうした診療報酬の改定による影響に対しては国がその財源を補てんすべきです。

 また大きな値上げの要因となったのが、後期高齢者医療制度導入時に国保制度に持ち込まれた「前期高齢者財政調整」です。新年度はこの財政調整の平成20年度分精算がはいるため、その算定見込みを間違ったために大幅な交付金減額となるのです。その減額分の半分を保険料の賦課総額に反映させているため、保険料額が大幅に引き上げることとなってしまいました。もともとこの算定基礎となる数字を示したのは東京都とのことですから、東京都とこの制度を導入してきた国が減収分の補てんをすべきではないでしょうか。

 さらに値上げの要因の一つが長引く不況の影響を受け、住民税額が5.5%下がることを見込み、その分が保険料引き上げに反映されているということです。長引く不況の責任は政治にこそあり、低所得者が多くを占める国保加入者にその責任を転嫁することは許されることではありません。

いうまでもありませんが、国民健康保険というのは、戦後、すべての国民が医療を受けることができる権利を確立しようという社会保障制度として「国民皆保険」の精神が貫かれて始ったものです。そして会社健保でいう事業主の負担2分の1に値する役割を国が担うというもとで始まりました。ところが当初総医療費の2分の1に責任を持っていた国の財源はその後の臨調行革により保険対象の2分の1に減らされ、その後も保険対象となる内容を削り込み、さらに小泉構造改革では調整交付金といいつつ、本来保障されるべき財源を大きく削減してきました。

これ以上貧困と格差を広げないためには、大企業、大資本家への行き過ぎた減税を見直し、国民の医療を受ける権利を守る国民健康保健事業への国庫負担金の大幅増額を行い、保険料を引き下げるべきです。

 反対の第二の理由は、払うことのできる限界を超えている保険料額だということです。

この引き上げで給与所得者一人世帯年収300万円で1万3691円の負担増です。65歳以上の単身年収300万円では1万3814円の負担増です。収入が増えているわけでもないのに、保険料がひきあがることは、ますます払いたくても払うことのできない実態を広げることになります。税制改正前の平成17年度保険料と比較すると65歳以上の年金収入一人暮らしでは、年収250万円世帯で32100円の保険料額が12万7553円と、約4倍にまで負担が増えてしまいます。年金収入が増えもしないのに、とられるおかねは増えるばかりでは、暮らしていくことさえできなくなっていきます。

 さらに区の資料でみると、板橋区の国民健康保険の加入世帯中、所得200万円以下という低所得層が約8割を占めています。そして収入が分かっている世帯9万6900世帯中約44%が非課税世帯である均等割り世帯です。収入が低いので税金を払わなくていいですよという世帯にまで国保料は取られているのですが、その均等割り額は毎年あがり続けているのです。これでは払いたくても払えなくなっていくばかりです。

 このままでは国保加入者の暮らしも命も崩壊です。

 最大の責任をとらなければいけないのは国です。しかし被保険者の医療を受ける権利を守る保険者として、そして住民の命と健康に最大の責務を持つ自治体として、独自の財源を投じてでも、高くてますます払えなくなる保険料額の引き上げを食い止めるべきです。滞納による保険証取り上げで医療にかかることもできない事態や、保険料を払うために多重債務に陥入り自殺にまで追い込まれる事態を広げてはなりません。

 国民皆保険制度と保険財政の維持のため保険料の引き上げは仕方がないと言います。

しかし述べてきたように、値上げの要因は国と東京都にこそあるのであり、その責任を低所得者が多くを占める国保加入者に転嫁することは間違いであり過酷としか言いようがありません。こうした事態から区民を守る立場にこそ区は立つべきであり、それこそ「国民皆保険」の精神が守られることになります。また保険財政の維持を言う前に被保険者の医療を受ける権利が守られる保険料にこそすべきではないでしょうか。保険財政の維持のためといって保険料だけ払えない額にどんどん引き上げて、払えない人からは保険証を取り上げますでは、区民はいったい誰に守ってもらえるのでしょうか。

さいごに、本議案には政令が間に合わず「保険料の2割減額」や「非自発的失業者への保険料軽減措置」「賦課限度額」が含まれていません。にもかかわらず実際はそれらが反映された保険料額と保険料率の決定を議会に求めるということは理解しがたいことです。本来3月31日に臨時議会をもって行われるべきであり、区長の専決処理を安易に行うべきではありません。さらにつけくわえるならば2割減額により新たに保険料が引き下がる世帯は7%の8123世帯だけであり、93%は保険料値上げとなり根本的な改善・解決とはなりえないことも申し上げ、討論を終わります。

 


日本共産党板橋区議団