なぜ教育にかかる父母負担を減らすことに反対なのですか。

「議案第173号 教育の私費負担を軽減し、すべての子どもに学ぶ権利を保障するための陳情(私費負担軽減の件)」
2010.6.24

小林おとみ区議の討論

ただいまより、日本共産党板橋区議団を代表して、「議案第173号 教育の私費負担を軽減し、すべての子どもに学ぶ権利を保障するための陳情(私費負担軽減の件)」の、委員会決定不採択に反対して討論を行います。

 

本陳情は、深刻な経済不況や雇用不安による格差と貧困の拡大が、子どもたちや家族の生活を直撃し、子どもたちの学びや将来への希望を脅かしており、区として学校教育にかかる私費負担の軽減を行うべきとして出された陳情です。

 板橋区の税務統計調査によれば、納税義務者の1人当たりの所得金額は、平成9年度(1997年度)392万2979円でしたが、平成21年度(2009年度)は356万6747円と、この12年間ほどで35万6232円も減少しています。一方で教育に係る私費負担は、平成4年(1992年)につくられた基準のまま見直しも行われず、小学校での一人当たりの学校徴収金は、平成16年度(2004年度)39,102円が、平成19年度(2007年度)41,340円と教科活動費、入学式・卒業式費、遠足・移動教室費などを中心に増加しています。区として、保護者の生活実態の悪化を具体的につかむこともせずに、義務教育に係る経済的負担を軽減することもせずに、逆に増大させている実態は、自治体の姿勢として問題です。

 陳情の一項目目は、就学援助の基準を緩和し、支給対象をメガネ購入費や部活動費にも拡大することを求めるものです。委員会審議の中で、「板橋区の就学援助の認定基準は23区のトップクラスであるため、基準の緩和は必要ない」「貧困率と就学援助率は無関係で、関係づけた政策提言をしてはならない」などの意見が出されました。しかし、生活保護基準自体が下がることによって、今まで就学援助を受けられていたのに受けられなくなる層が生まれているのは事実です。せめて生活保護基準の1.4倍程度まで引き上げなければ、ボーダーライン層では、実質的に就学援助を受けている世帯との逆転現象が生まれていることが指摘されています。日本がOECD諸国の中で唯一、政府による所得の再配分後の貧困率が再配分前の貧困率を上回るという異常さが指摘されている中で、そうしたボーダーライン層を生み出さないための政策提言が必要であることは明らかです。また、「眼鏡は自己所有。親の責任であり、やってはならない施策」との意見がありました。しかし、墨田区はメガネ購入費を支給対象としていますが、その考え方は、メガネを医療として必要と認めて支給している生活保護世帯に対して、対象とならない準要保護世帯にも支給を認めて、その差を埋めるという努力です。区もこうした考え方を学ぶべきであり「やってはならない」施策などでは到底ありません。部活動経費について、区は平成13年(2001年)に調査をして「受益者負担」との結論を出していますが、家計の苦しさをおもんばかって、自分がやりたい部活動をあきらめる子どもも生まれています。保護者の経済状態は悪化しており、再検討すべきです。

次に学校給食費の値上げをせず、補助の増額を求めるものです。学校給食への公費補助は、刷新計画によって平成16年度(2004年度)をもって給食用無償物資供給事業も廃止をされ、原油価格高騰により米代の公費負担が平成20年度(2008年度)、平成21年度(2009年度)行われましたが、平成22年度(2010年度)はそれも終了です。学校給食は、教育の一環であり、私たちは条例提案もしましたが、公費負担とし無償化をめざすべきと考えます。  

三項目目は、社会科見学の公費化と区内施設見学の交通費を区で負担することを求めるものです。区は区内施設の見学はすべての学校が共通して取り組んでいるものではないといいますが、社会科見学はすべての学校で、また区内施設見学は、3,4年生を中心に、清掃工場は21校で、郷土資料館は18校で、三園浄水場は15校で、その他美術館や警察、消防、区役所、熱帯植物館などを含めるとほぼほとんどの学校で取り組まれているものです。教育的意義は大きく、学校ごとの教育活動として行われているものであっても、区としての教育活動に位置づけ公費負担とすべきです。

四項目目の、修学旅行費への補助は、かつては7000円の補助があり、平成13年度(2001年度)からは5500円に引き下げられ、刷新計画によって平成17年度(2005年度)から0円へと、バッサリと削減されたものです。区の財政事情によって子どもの教育へのしわ寄せをするべきではありません。復活すべきです。平成20年度(2008年度)修学旅行に行けなかった生徒は、区の調べでは110名にのぼり、そのうち80名が不登校などが原因で、経済的事情ではないといいますが、板橋区の「不登校プロジェクト」の報告でも、経済的な貧困世帯に不登校が多い傾向にあることが指摘されており、修学旅行に行けなかった子どもたちを生んでいる、経済的背景について、区が目を背けることをしてはならないと考えます。

五項目目は、教材費の公費化をすすめるために、学校令達予算の増額を求めるものです。学校で使うドリルなども保護者負担になっていますが、コピーすることもできず、必ず同じものを全員が持たなければならず、保護者の節約の余地もない教材は、公費で保障するべきです。そのためにも、学校令達予算を増額すべきです。

委員会審議の中で、「子ども手当が支給されるのだから」などの理由で「不採択」との意見がありました。子どもを社会の子どもとして育てるための政策は、さまざまな形で推進されるべきと考えます。手当もその施策の中で重要なものですが、保育園の増設などの子育て環境の整備や、憲法に基づく、義務教育の無償化の完全実施への取り組みも一方ですすめられなければなりません。そうした全体像が、社会全体で子どもの育ちを保障していくことにつながるのであり、「不採択」の理由には当たらないと考えます。本陳情を採択し、義務教育における保護者負担を軽減し、すべての子どもに学ぶ権利を保障する区政を推進することを求めて、討論といたします。


日本共産党板橋区議団