2009年度予算案と区議団の予算修正案に対する討論を行いました。

熊倉ふみ子区議

 ただいまより日本共産党板橋区議団を代表して、討論をおこないます。

 私たちは、区長提案の議案第1号から第5号、2009年度東京都板橋区一般会計予算案ほか、国民健康保険事業、老人保健医療、介護保険事業、後期高齢者医療事業の4つの特別会計予算案に反対するともに、日本共産党から提案させていただきました議案第35号「一般会計予算に対する修正動議」への賛同を求めるものです。

小泉元首相の「構造改革」以来、雇用の「非正規化」と低賃金労働が拡大しました。しかも税金や社会保障費の国民負担増という「痛みをともなう改革」によって、家計は大きな打撃をこうむり、貧困と格差を広げています。「痛みに耐えれば、あすがある」とのかけ声もむなしく、昨年秋からの世界規模の金融不安が追い討ちをかけ、空前の不況と雇用危機が区民生活のうえに重くのしかかっています。いま、この不況から区民をどう守るのか、貧困から区民をどうぬけだすのか、このことが、2009年度の予算編成に求められる課題です

まず、セーフティーネットの確立です。「派遣きり」「雇い止め」などで職を失う非正規労働者は、業界団体の試算では、40万人を超えるといわれています。こんにちの失業は、同時に住まいまでも失う事態を発生させています。大量解雇をやめ、雇用を確保する社会的責任が、大企業をはじめ経済・産業界にあります。同時に身近な行政機関として板橋区が、居住の権利を保障することが必要です。しかしいま、路上生活を余儀なくされた方が、福祉事務所に保護を求めても、「施設が満員だから」などの理由で、路上での待機を強いている状況です施設の拡充は当然ですが、保護を求めている人を夜露にさらすのではなく、積極的に生活保護法を適用して、緊急対策を実施すべきです。民間宿泊施設の活用もふくめた住まいの確保、相談窓口の強化を強く求めます。

さらに根幹である生活保護制度が、老齢加算も母子加算も完全廃止となり、その機能が弱められています。区としての独自の法外援護事業の拡充を積極的にすすめることを求めます。

雇用不安と不況、貧困化の影響は子どもたちにまで及んでいます。職を求める世帯が急増したことで、保育園への入園希望者が増大し、板橋区では第二次募集の段階で、昨年766人だった入園希望者が、ことしは1,056人へと、約38%、290人も増えています。ことしの待機児は876人です保育園が足りません。認証保育所を利用する父母への保育料の補助などの緊急対策とともに、認可保育園を増設すべきです。区立保育園の民営化は、区立・私立がともにとりくむべき、認可保育園の増設に逆行します。

働く親を持つ小学生の保育と生活を保障する場としての学童クラブの役割が変わることがあってはなりません。また、すべての要支援児に学童保育を保障するなど、いっそうの拡充こそ必要です。家庭の貧しさが、子どもの通学や学力に困難をもたらす一因になっていることは、板橋区をはじめ各種の調査・研究によって、あきらかです。すべての子どもに教育を保障するために、給付の拡大と負担の軽減という経済的支援が急務です。就学援助は、生保基準の引き下げにより、実質的には引き下げられており、引き上げが求められます。また、一人あたり小学校4万円、中学校7万円弱という高額な学校私費負担について、「不断に見直す」というものの、具体的な軽減は何ら示されていません。「義務教育は無償」とした憲法の立場から、私費負担の考え方をあらためるべきです。

雇用の拡大と安定化など、景気回復にむけた直接的なとりくみも求められています。区は、民間委託や指定管理者制度のよって公務労働の非正規化を進めたことによって、多くの不安定雇用を生み出しており、安定した雇用の確保について大きな責任があります。 総括質疑のなかで、区の体育施設の指定管理者となった企業が、施設の管理・運営を再委託・まる投げしている実態が明らかになりました。再委託されたがわの企業も、労働者に「個人委託」契約を結ばせて、最低賃金以下の報酬で過酷な労働をさせており、この官製ワーキングプアの実態を、区は直ちに調査し、是正すべきです。

また、区の清掃事業に従事してきた派遣労働者に対して、3年の派遣期間の終了後は、半年間「臨時雇用」するが、その後は「雇止めにする」と発言した区の姿勢は、社会問題化する「雇止め」に対して、直接雇用を求める世論に敵対するものです。学校や保育園の用務の民間委託も、公務労働の重大な変質です。「業務請負」では、他の教職員が直接指示や依頼をすることは禁じられています。これでは、いままでどおりの用務員の仕事はできません。用務の委託は止めるべきです

 地域経済をささえるカナメである地元の中小企業、商店から、「親会社がつぶれた、うちもつぶれるしかない」「借金して買った機械がとまったままだ」「家賃が払えないから店をしめる」という声が後を絶ちません。 区の「雇用創出・地域経済活性化総合対策」のほとんどは、通常の予算編成の枠の中から関連項目をピックアップしたものです。公的融資の貸し付け条件を23区で比較しても、板橋区の融資制度は、まだまだです。「ものづくりのまち、商売のまち・いたばし」にふわしい、中小企業支援や仕事おこしを要望します。そして、消費を拡大し、営業を守るために、消費税増税にきっぱりと反対の立場に立つべきです。

つぎに、福祉と医療について申し上げます。障害者福祉では、「自立支援法」により逆に「自立」を奪う実態が広がり始めています。「応益負担」により、日常生活に不可欠な施策であっても、お金がなければ利用できないからです。自立をほんとうに願うのであれば、負担の撤廃や軽減は必須です。しかし、予算案では、4つの区独自の負担軽減事業のうち、3つの事業を廃止するとしています。「応益負担」は「応能負担」に改めるべきです。

高齢者福祉では、敬老事業が大きく減額されています。これまでの「敬老入浴事業」や、国保事業だった「はり・灸・マッサージ」が、「新高齢者元気リフレッシュ事業」に統合されたからですが、事業費だけでなく、入浴サービスを選択すると美容院・理容店が利用できないなど、サービス水準の後退をもたらしました。また、「志村坂上のいこいの家」を廃止しようとしていますが、利用者の理解・同意を得ていない廃止の強行はやめるべきです。

運動と世論によって介護保険料が引き下げられることは、前進です。しかし、その介護保険給付準備基金の残高が19億2400万円もあります。この基金を活用してもっと保険料を引き下げるべきですまた、激変緩和措置の廃止で、実質保険料が引きあがる人が6100人あまりも生じますが、この方々への区独自の軽減措置を取り組むべきです。介護保険制度は10年目を迎えますが、認定基準の改悪で、ますます必要な介護が受けられない事態が危惧されます。すきま問題を含めて区独自の「介護保険外介護事業」の実施が急務です。基盤整備の問題では、区立の特別養護老人ホームの増設に踏み切るべきです。介護保険事業は公費50%のうち、国庫から25%となっており、そのうち5%は調整交付金とされていますが、実際には5%に満たないのが実態であり、新年度は4.21%です。その残りの不足分は65歳以上の保険料に転嫁されています。国に対し5%満額支出を求めると同時に、不足分は当面、区が補填すべきです。そして区独自の保険料軽減事業の要件緩和を進めるとともに、利用料についても独自の軽減事業を行うことを求めます。また、介護の人材不足解消にむけ、施設・事業所への独自支援策を図るべきです。

「後期高齢者医療制度」は2年目を迎えますが、まだまだ区民は受け入れていません。それは保険料を1度も払っていない人、あるいは払えていない人が2188人にのぼることにも示されています。こうした方々を「滞納者」とするのではなく、誠意ある丁寧な対応を求めます。そもそも、新たな差別と負担を押し付けるこの制度に対して、いまなお全国に怒りが広がっています。区としても廃止を国に意見すべきです。

国民健康保険事業においても区民の願いは裏切られました。新年度は、弱者である低所得者の保険料が引き上げられようとしています。しかも、保険料が納められない人からの保険証のとりあげは23区でワーストワンのままです。直ちにすべての国保加入者に保険証を保障すべきです。また失業者などに対して保険料を減免できるように制度を拡充することを求めます。

大きな転換期であるいまこそ、住民参加が貫かれた区政運営でなければなりません。大山地域のまちづくりについて、地元住民は、東京都の基本計画が示される前から住民の意見を計画に反映させるように、区に要請してきましたが、区の対応の遅さに怒りの声が上がっています。いまからでも、住民要求の実現にむけて、区が最大限の努力をすべきです。

上板橋駅南口再開発は、都市計画決定から5年たちましたが、地域の賛同は得られていません。計画に「無理」があることは、明らかです。区長は再開発に固執することをやめ、反対意見にも耳を傾け、計画をいったん凍結すべきです。南館建替えについて、区長は区民と対面しての住民説明会は認めませんでした。いくら「耐震」を理由にかかげても、この不況のさなかに、総額64億円もの区民の血税を投入するとすれば、区民から、さまざまな意見が出ることは当然です。しかも耐震補強であれば約7億円で済むのです。改築は凍結すべきです。

日本共産党板橋区議団は、区長提案の予算案に対して、議案提案権を行使し、「修正動議」を提出させていただきました。修正規模は予算のわずか0.3%ですが、せいいっぱいの区民要望を取り入れたものです。そこではまず、不要不急なもの、区民の理解を得られないもの、平和行政のために必要がないと判断した事業について削り、また議会に係る経費を見直しました。そして、いま必要な事業として、家具転倒防止事業の拡大、ごみゼロ区民会議などを盛り込みました。なかでも小・中学校の入学おめでとう事業、就学援助の基準の引き上げは、不況と貧困から子どもたちを守るために必要なものです。審議では、多くの意見や質問をいただきました。たとえば「入学おめでとう事業」に対して、「実施時期は」「商品券の確保は」「個人情報保護はどうか」というご意見です。これらは、事業の実施段階において、当然解決しなければなりません。しかし、区と区議会の知恵と努力を結集すれば、解決できます。実施にむけての課題を提起していただいた議員各位にあらためて感謝しますと同時に、ご賛同たまわりますよう、おねがいいたします。

最後に退職される174名の職員のみな様に心より感謝を申しあげ、討論を終わります。


日本共産党板橋区議団