この議案は、幼稚園の入園料を現行の1,200円から3,200円に、保育料を年額73,200円から激変緩和として4年間かけて12万2,400円にまで値上げするというものです。収入が減りつづけている子育て世帯にとって、大変な負担増になることはいうまでもありません。
『子育てにお金がかかりすぎる』『経済的負担を軽くしてほしい』という声は、さまざまな調査で最も多く出される意見です。
次世代育成支援の中間のまとめに対するパブリックコメントでも、特に私立園に通う保護者から、『入園料や保育料の負担が重い』『私立と公立、幼稚園と保育所の負担割合に違いがありすぎる』という意見が出されています。委員会では、今回の値上げは、この負担の割合を公平にするために公立の負担をあげる、「公私格差是正」なんだと説明されました。しかし、それで、本当に問題は解決するのでしょうか。私立園の保護者が求める『負担の公平化』という前提には、私立幼稚園の負担が重過ぎるという現実があります。公立園の負担を増やしたところで私立園の負担が重いことに変わりはありません。しかも、私立幼稚園については、入園料・保育料の保護者負担軽減のための補助金や奨励金などがありますが、これまでも削減されており、今後増額するなどの計画もありません。
そもそも公私格差是正という言葉は、私立への支援によって公立との格差を縮めることを意味して使われてきたのです。私立園の負担を軽減することこそ、本当の公私格差是正なのです。
今、4〜5歳児で保育所または幼稚園に通う子どもの率は90%を超えており、そのうち5割以上の子どもたちが幼稚園に通っています。幼稚園入園まで在宅で子育てしていてもほとんどの子どもたちが幼稚園に通うのです。家計をやりくりしてでも通わせたいというのが父母の願いとなっています。事実上準義務教育化している現状の中で、所得格差によって幼稚園に入れない子どもがあってはならないということ、つまり、幼児教育における機会を平等に保障すること、そして幼児教育水準を引き下げさせないこと、それが、公立園の果たすべき役割なのです。公立園が民業を圧迫しているという議論がありましたが、公立・私立、それぞれに役割があるのです。
区が、こうした公立の立場を投げ捨てて、私立園への支援という本来の公私格差是正の意味をすりかえ、公立園の利用者にその負担を転嫁することは、機会の均等を保証すべき区の役割を否定するものです。
政府は、三位一体改革による保育所運営費削減を合理化するため「幼保総合施設」の設置を提案していますが、それは現行の幼稚園と保育所に関する規制のどちらか緩いほうの水準に引き下げるべきとしています。公立幼稚園がその役割を投げ捨てれば、公的保育水準はますます引き下がる一方です。
今回の値上げ案は、使用料・手数料検討委員会の中で議論されたもので、他の貸し出し施設の使用料などと同じ考え方に基づいたものとして提案されました。激変緩和したといっても、子育て世帯、特に利用者の家計状況を省みることもなく、さらには、私立のほうが利用者が多いなどという理由で、利用者の意見さえも聞かずに、一方的に大幅な値上げを進めることは、区の姿勢そのものが問われる重大な問題です。区民参加・情報公開・子育て支援の充実を歌う板橋区の立場から見ても、到底納得できるものではありません。
以上の理由から、本議案に反対する立場を表明して、討論を終わります。
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