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東板橋体育館

2004/10/14/

区立体育施設、榛名林間学園、郷土芸能伝承館に「指定管理者制度」を導入するとどうなるのでしょうか。


体育施設が「公の施設」であること、営利の対象でないことの意義は、住民に低廉な費用でスポーツに親しむことを保障し、公平に活用されることにあります。指定管理者制度によって、こうした「公の施設」が企業のビジネスチャンスにされるという使われ方で、果たして権利保障や費用負担がどのように変質していくかということを検証しておく必要があります。

第一に、利用者や住民の声が適切に反映されるかという点では、この制度のもとでは区も議会も関与できなくなります。指定管理者との関係しかありません。第2に、スポーツの専門性が施設・設備の面から維持発展させることができるかという点では、利用者は「お客様」として大切にはされますが、主権者としては扱われないためやがては料金による差別化を引き起こすことになるはずです。第3に、日曜日の団体枠の変更や自主事業と称した教室、会員利用方法など収益性の追求が行われ優先されるようになるため、これまでと同様な区民の利用が事実上制限される方向に向かうでしょう。

また、条例案第17条(1)では第4条にかかげる「体育事業」にかかわる運営を行わせることができるとあるため、体育・スポーツ及びレクレーションの「指導及び普及」に関すること、スポーツの適正、健康及び体力相談に関することなど、スポーツ振興全般を指定管理者に代行させることになります。このこと自体、より慎重に検討すべき事項ですが、「体育事業」という目的に合致するなら、貸し出し枠を管理者が自由に変える権限を持つことを可能にする規定となりました。区と指定管理者のかわす「協定書」でこうした問題を全面的に担保することはできません。また、指定管理者も望まないでしょう。

設備投資もすることなく、減価償却相当分である大規模な補修費は区が持ち、しかしながら、利用料金の中に減価償却費を含めて行政財産を事実上指定管理者の資産に会計的にふりわけることになるため、指定管理者はこの資本費さえ自分の儲けとすることができます。投資行為がないのに、投下資本の回収だけは認められ、割高の料金設定を区が使用料の改定で用意してあげたことになります。指定管理者制度への移行で、区は7000万円の財政効果を得るといいます。しかし、失うものははかりしれないというべきです。

郷土芸能伝承館を指定管理者制度にし、利用料金を徴収することについては運営協議会の議論を経ているとの説明がありました。また、今後の利用についても運営協議会の議論をふまえることは当然です。利用者の声をきく制度をもつことは、指定管理者制度のもとではいっそう重要になります。

しかし、指定管理者制度の条例化にあたって、「管理に係る経費の縮減」を盛り込むと、利潤の拡大をあまり望めない施設においては労働条件の引下げと利用料金の引き上げのインセンティブがさらに強く働く可能性が高くなります。先駆けて実施している事例でも小規模な単独施設は指定管理者制度になじまないとの意見が多数をしめています。そのため、最初の指定管理者が指定期間を終了したのちには、利用料金の見直しが企業会計上の理由から引き起こされます。その施設を直営に戻すことがない限り、利用料金の設定は指定管理者の意向に左右されることになるでしょう。そうなれば、「公の施設」そのものの意義が変質していく可能性があります。榛名林間学園もこうした部類に属しており、画一的な制度運用は慎重にならなければなりません。

指定管理者の公募は、法的な義務付けではありません。実際に公募によらずこれまで管理業務をおこなってきたところにこれまでの蓄積を踏まえて指定管理者として指定した例もあります。また、指定管理者制度にすると再雇用の職場がなくなり、自治体としての雇用確保は後退せざるをえません。


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