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2004/12/10

公立保育園管理運営を指定管理者制度でおこなう条例改正案に反対しました。


 議案第104号東京都板橋区立保育所条例の一部を改正する条例案に対して、反対の立場から討論を行います。

 この条例案は区立保育所を指定管理者制度へ移行するための改正案です。指定管理者制度は公の施設を企業の手に委ねることによって、企業の利益拡大を目的とした財界戦略です。社会保障構造改革は保育事業を市場に委ねる方向をめざしており、公立保育所の廃止をも視野に入れています。保育所事業は、子どもの発達保障に責任をもち、子どもにとって最善の利益を追求する事業に他なりません。したがって、公立保育所を指定管理者に代行させようという場合、保育の質の保障となる保育労働者の雇用条件が劣化することにつながらないか、特に不安定雇用を招くことにならないのかなどが検証されていなければなりません。実際、三鷹市が2001年4月から行った委託では、運営費を公立の半分にするため、園長も含めて全職員が一年契約、不安定雇用労働者が中心で職員の交替も多いため、保育の継続性や専門的経験の蓄積を危ぶむ声が上がっているといわれています。指定管理者制度のもとで、その設置目的の一つである企業の利潤確保が優先されればこうした危惧は板橋でも現実的なものになりかねません。条例案では指定管理者の対象を社会福祉法人に限定しておらず、企業の保育事業への算入に道を開くものとなっています。今回この条例案によって、新設されるこぶし保育園に、すでに内定しているNPOに指定管理者として指定するとのことですが、条例案は公立保育所全体を包括しているものであり、今後も社会福祉法人やNPOに代行させるという担保はありません。児童福祉法24条、56条の規定から、保育料や入所の権限は市区町村の権限とされており、指定管理者にはその権限はありません。しかし、施設使用の許可権限は指定管理者のものであり、施設運営に利用者の意向が反映されるのか、プライバシーは保護されるのかなどは、子どもの成長にかかわるだけに責任の所在が明確になっている必要があります。しかし、指定管理者制度のもとではこうしたことも不透明になります。議会の関与もなく、利用者の目から見えないブラック・ボックスに入ってしまった場合、コストが安いという表面的な理由で指定管理者に代行させて、経費削減による子どもの精神的・身体的負担が大きくなったら誰が責任をとるのでしょうか。こうした現実的に想定すべきリスクヘッジを全く考慮していないことが問題です。また、区の他の指定管理者制度条例と同様にこの保育所条例の改正においても、兼業禁止規定を盛り込んでおらず、不公正、癒着の温床を防ぐという危機管理があいまいです。多賀城市では、市議会議長が理事長をつとめる学校法人を指定管理者に選定し、保育士に派遣社員を充てることが想定されていたことが問題になりました。指定管理者の選定は、公の施設の設置の目的を効果的に達成する観点にたち、公正になさればならいのは当然です。条例改正にあたっては、適切な選定の手続きが定められるべきであり、長や議員本人または親族が経営する会社に指定管理者になれないとすべきです。

 公立保育所は、子どもの発達を保障する地方自治体の責務として、これまで営々と父母と職員によって築き上げられてきたものです。いま、経費削減のために経済効率を優先することを保育所事業に求めてどこが悪いとでもいいたげな論調が幅を利かせています。しかし、子どもの人権と発達のためにどれほどの労力と情熱がそそがれてきたかを振り返るとき、この選択肢を選ぶことが本当に適切なのかどうかをもう一度考えることが必要ではないでしょうか。安上がりの保育が当たり前になったとき、それは人間発達そのものを安上がりに仕上げるということにつながっていくのではないか。効率的な経営のためには保育の専門性も経験も二の次とするような公立保育でいいのか。保育事業への指定管理者制度導入は、こうした危惧をもつに十分な制度です。私たちは、公立保育所を指定管理者制度に委ねることを可能にする条例改正には、とうてい賛成することはできません。以上で私の討論を終わります。


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