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安定した仕事があってこそ暮らしの基盤になります。低賃金で「使い捨て」ができる非正規雇用は労働者の三人に1人、女性の二人に1人に広がって、貧困と不平等の格差は急速に拡大しました。それは教育費の格差にも現れ、2008年のベネッセ教育研究開発センター「第三回子育て生活基本調査」では、小学生ではゆとりがあると答えた家庭ほど教育費を多く支出しています。中学生でその差が少ないのは、高校受験があるためにゆとりがないと答えた家庭が教育費以外の家計費を切り詰めているためです。中学生の家庭では、7〜8割が塾に通っており、塾での学習が加わってはじめて十分なものとなっています。塾に通う費用は家族の負担に依存しています。そしてその負担をあてにした教育の商品化が常態化しているもとで、費用負担ができない家庭や子どもは教育制度自体から脱落してしまいます。
板橋区が昨年から始めた生活保護世帯の中学3年生を対象とした「高校進学支援プログラム」では、進学塾などの費用を支援し始めましたが、36.6%の利用率です。私が直接、話を聞いた生活保護受けている母子家庭は、すでに学力不足で不登校になった時期もあり、中学3年の内容ではついていけないから利用しないと語りました。子どもが夢を描けないのではなくて、親自身が夢を描けず子どもの夢も描けないのです。すでにお金をかけなくても本人の努力でなんとかなる社会ではありません。PISAの結果でも、学力、学習意欲、家庭で勉強をやっているかどうかを見ても、家庭環境と連動していました。所得の格差は子どもの学力の格差に確実につながっています。塾に通えない劣等感が成績の差となることが続くことで自己肯定観を奪い、不登校になっていくケースもあります。通塾を支援するなら受験のためのみとせず、学年にかかわらず可能であるようにしていただきたい。見解を求めます。
東京都が減税の公約の代わりに今年始めた「生活安定化総合対策事業」では、生活保護世帯以外の低所得者むけに「チャレンジ支援貸付事業」として、中学3年生と高校3年生を対象に、学習塾費用の貸付、大学受験などの受験料の貸付を行っています。板橋での申し込み実績は、申請数、申請予定数あわせて39件しかなく、東京都は要件の緩和を12月から行う予定です。この事業は高校、大学へ入学した場合、免除申請をすると返済が免除される制度ですがあくまで貸付事業です。20歳になる前に入学しないと年利10.75%で60回を上限に返済しなければなりません。この事業でも生活保護世帯の子どもの環境と同じ問題を抱えており、大学受験では失敗すれば借金だけが残ります。子どもたちは社会に出ると同時に「借金」を抱えることになります。受験料さえ貸付事業を利用しなければならない家庭で、たとえ入学できたとしてもどのように高い入学金を準備するのでしょうか。入学金支援貸付は母子家庭にだけしか行われていません。入学できたとして高い授業料を払うために、また「借金」返済のため、学業よりたくさん働かねばなりません。子どもの教育は親の責任を持ち出すまえに、「社会の責任」こそ問い直されなければなりません。
しかしながら、この制度自体を知らない親や子どもがたくさんいるはずです。パンフレットと申込書を学校を通して全家庭に届くようにしていただきたい。中学校は板橋区が行い、高校は東京都に要求していただきたいがいかがでしょうか。まず、周知してそのうえで相談を受けるという積極的な対応を求めます。アクセスの格差もまた作らないという考えにたっていただきたい。また、東京都の制度で網羅できない入学金や授業料の支援について検討をしていただきたいが、見解を求めます。
子どもの教育費の格差は、家計所得の格差と先に述べました。東京23区では中学校受験をさせない家庭の子どもの教育費は一ヶ月で平均1万3924円であるのにたいして、受験予定の家庭は4万8959円を教育費にあてています。さらに私立中学校を第一志望にしている家庭では、一ヶ月の教育費は6万457円にのぼっています。当然、学校での保護者負担の重さも所得が少ないほど負担感が高くなります。たとえば、ひとり親の家庭が非正規雇用で夜間のスーパーのレジなどの単価の高い職場で働こうとすると、子どもが学校から帰ってきた時間帯以降にも仕事を続けなければなりません。子どもとの大切なふれあいの時間さえ犠牲にしてギリギリの生活を続けている家庭の負担感を想像していただきたい。19年度の保護者負担を私費会計徴収金額でみると、全ての小中学校あわせて平均すると、小学校で年間一人当たり41,340円、中学校で67,797円となっています。平成13年の「学校私費会計の事務手引き」によれば、施設設備費、教職員人件費、教科書代を公費支出とし、その他の費用は保護者の負担としていますが、それはあくまで「設置者である地方自治体の財政能力や政策によって受益者負担という名目」で徴収していると述べています。公費で支出できないということではありません。では「受益者負担という名目」は全てに本当に適するのでしょうか。「手引き」は、私費負担を、1、児童生徒個人の所有物として家庭・学校のいずれかにおいても使用できるもの、2.学年又は学級全員若しくは特定の集団全員が個人用の教材・教具として使用するもの、3.教育活動の結果として、その教材・教具そのもの、またそれから生じる直接的利益が児童生徒個人に還元するもの、4.家庭を場として行われる教育に要する経費と通学に要する経費等、5.PTA等学校関係私的団体の活動、管理運営に関する経費の5項目に分類しています。実際に徴収している区分は、小中学校で差はありますが、教科活動費、クラブ活動費、入学式・卒業式、学校行事費、遠足・移動教室、学校給食、生活・進路指導、学級会・生徒会活動、保健衛生その他経費です。そのほとんどが学校教育として集団的に行っているもので、個人が必要としないからと拒否できるものはありません。教育の直接的利益が子どもに還元するとは教育の内容をいうのであって、社会的資源のためのなのです。通塾は家庭を場とする教育に関する経費です。そこに公費で支援をしなければならない社会になったのです。選択肢がないものを受益者負担とした「名目」で長い間保護者に押し続けてきたことを見直さなければなりません。
そこで質問します。19年度の学校私費会計徴収金額は、全体で小学校で9億1538万円、中学校で5億9237万円も保護者から徴収しています。これらの多くは政策として公費で賄うことが可能です。病院とならんで学校もまた、人間として最低限必要な領域でありながら学校の中に社会の格差が深く入り込み、崩壊し始めています。教育は未来への最大の投資でありながら、すでにその中に社会の崩壊を内包しつつあります。まず、私費会計の適用範囲を厳密に見直す作業を開始して、保護者負担の大きな軽減に踏み出していただきたい。見解を求めます。私たちは、私費会計とされている負担の多くは政策として全廃すべだと考えています。そのための大きな第一歩を踏み出せば、必ずや区民の支持を得られ、全国に影響を与え、国への国民的要求として広がっていく可能性が広がります。これは区長に見解を求めます。 |