更新日 2009年6月2日

1.景気、雇用対策について
2.医療・介護・高齢者福祉について
3.生活保護について
4.保育施策について
5.教育について
6.男女平等施策について
7.地域問題

1.景気、雇用対策について

日本共産党板橋区議団を代表して、区政に関する一般質問を行います。

はじめに、景気、雇用対策についてです。

第一に中小業者支援について伺います。

輸出大企業を中心にした、急激な「在庫調整」「雇用調整」によって鉱工業生産は持ち直し始めたと報じられました。そこで生み出されているものは、雇用情勢の悪化と、下請け中小零細企業の仕事量と売り上げの激減です。「1ヶ月前に納品した製品がサビ止めをして置いたままになっていた。どうなっているんだ」区内製造業者の声です。板橋区の2009年3月末の倒産件数は78件、負債総額153億7,700万円にのぼると報告されました。1月から3月期の景況調査では、製造業、小売業、サービス業、建設業のすべての業種で、前期も今期も今後3ヶ月の来期予測も、すべてにおいて「G」最不調です。

区内のある40代の製造業の方は、おじさんから工場をまかされて、工場の中心的な働き手としてがんばってきました。「いつもなら来年1年分、いいときは3年先まで仕事がいっぱいだった。しかし、今年は4月以降ぱったりと仕事がこなくなってしまった」と言っています。また、べつの工場の経営者は、「息子に引き継ぐつもりで工場経営をしているが、仕事がまったくない。子育て真っ最中の息子夫婦にはどうしても給料を払わなくてはならないが、11万円の工場の家賃と2万円の車庫代、自分の生活費はまったくでない。息子に技術を学ばせようにも学ばせる金もない」と言っています。若い企業の担い手が、また、子どもの代につなぐことも見通しながら、頑張ってきた人たちまでもが、この経済危機の中で、次々に姿を消していくようなことになっては絶対にならないと思います。政府の経済危機対策もその中心は大企業応援の施策が中心で、地域の中小業者にとっては、消費税の増税計画が暗い影を落とすのみです。マネーゲームの破たんによって引き起こされた経済危機によって、日本経済の土台を担っている地域の中小業者が廃業に追い込まれるような事態をなんとしてもくいとめなければなりません。

区の緊急経営安定化特別緊急融資のあっせん実績は828件で、金額にして35億9671万円、4月30日現在、融資実行件数は721件で融資実行額は30億9851万円とのことです。区は「見込みの700件35億円を超えた」「体力のあるところはピークを越えた」「融資は返すのが大変という人もあり、これでひと段落」と、先日の区民環境委員会で説明されていますが、本当に「ひと段落」などと言っていていいのでしょうか。銀行の中小企業向け融資は、前年同月比で16〜17ヶ月連続マイナス、メガバンク3行の中小企業向け融資は、1年間で約2兆3600億円も減少したとのことです。「晴れの日に傘を貸すと言って、雨の日に傘を貸さないのが銀行だ」と銀行の貸し渋り、貸しはがしへの悲鳴が上がり続けています。区の緊急融資は、もっと借りやすいものにすることが必要です。10年返済、据え置き3年などに制度を改善する自治体も広がっています。区が行った製造業の巡回訪問調査も、断ち切られているネットワークの再構築、経営実態にふみこんだ施策につなげるものにしなければなりません。

そうしたこれまでの支援策の拡充の上に、さらに、廃業に追い込まれているところの実態をしっかりつかむ必要があるのではないでしょうか。廃業に追い込まれているところで大事な技術が失われてはいないか、当面の危機的状況を回避する手立てが必要だと思います。板橋区はこれまでも工場ビルをつくるなど、小規模企業の作業場づくりや継続困難な企業への操業の場の提供などを行ってきました。今あらためて、廃業をくいとめて、ものづくりの技術や技能を継承できるように、緊急に、貸工場の家賃への助成や、固定経費の補助制度などを行っていただきたいがいかがでしょうか。区長の見解を求めます。

また、下請け製造業者のための「緊急休業補償制度」など、仕事がない状態を直接的に支援する施策が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

工場ビルに対する支援も引き続き必要です。家賃の引き下げも検討していただきたいがいかがでしょうか。

第二は、多重債務対策についてです。

非正規労働者の急増など、格差と貧困が顕在化する中で、多重債務者の問題は大きな社会問題となっています。消費者金融の信用情報の調べでは、3社以上から借金している多重債務者は昨年3月現在で378万人と推計されています。国民の3.15%、板橋区民52万人で割り返すと、16380人が多重債務者と推計されます。急激な景気悪化、雇用情勢の悪化は、新たな多重債務者をつくりだし、また、いままではなんとか返済できていた人たちが、返済不能に陥る事態を作り出しているのではないでしょうか。この問題での区の取り組みは一層重要です。  

昨年12月27日付の岩手日報は、生活費が不足して消費者金融数社から繰り返し借り入れをして生活していた家族が、市の納税課の職員が滞納の督促の際に置いていった「多重債務相談」のチラシをきっかけに、消費者センターとつながり、債務整理に道が開かれ、税金の分納も始まり、生活再建に向かっているとの盛岡市の話を紹介しています。自治体が行政の仕事として、区民の生活困難を打開するために多重債務者対策を重要な柱として位置づけて取り組むことの重要性が、この報道からもわかります。税金や保険料、保育料や学校での徴収金などの窓口は、多重債務で苦しむ人たちを掘り起こし、解決に向かわせることのできる大事な役割をもっていると考えます。教育委員会も加えたすべての窓口が、多重債務や自殺者対策としての連携がとれるように、具体的な取り組みを求めます。現在の取り組み状況と、今後の計画について、見解をお示しください。

また、区のホームページをはじめとした広報活動について、板橋区があなたの困難の解決に力を尽くしますという、もっと力強いメッセージ性のあるものにしていただきたい。電車のつり革広告でも法律事務所の「多重債務を解決します」などの文言が目にとまりますが、弁護士事務所に直接相談するのは勇気がいることです。板橋区が、必ず解決への道筋をつけますというメッセージが、さまざまな場面で区民に伝わるようにしていくことが必要だと考えます。見解を伺います。

 多重債務問題の解決を、生活再建まで見通した相談活動として展開するためには、消費者センターの相談体制はもっと強化されなければならないと考えます。現在相談員6名、全員が女性で非常勤職員です。男性に求められる相談は区の職員が当たっているとのことです。消費者庁の発足にあたって、地方で消費者行政を支えている消費生活相談員の役割と処遇改善の重要性もあらためて指摘をされました。板橋区においても、消費生活相談員の処遇改善や体制強化を具体的に行っていただきたいがいかがでしょうか。

第三に、区が自ら不安定雇用を生み出すことをしてはならないということについてです。指定管理者制度の広がりは、不安定雇用を広げるものになっています。体育施設や図書館、ふれあい館、熱帯館などでは、ほとんどが1年契約の契約社員とパートやアルバイトに支えられています。経済の底上げの要は雇用の安定です。雇用の安定のための指定管理料の引き上げを行うことを求めますがいかがでしょうか。

2医療・介護・高齢者福祉について.

次に、医療・介護・高齢者福祉について質問します。

 4月から、豊島病院は東京都保健医療公社に移管され、老人医療センターと老人総合研究所は、ナーシングホームとも切り離され、「独立行政法人健康長寿医療センター」として発足させられました。高度医療、専門医療、不採算医療、そして地域医療を担い充実させ、また医師の教育機関としても貢献してきた都立病院が、石原都政のもとで、職員削減の最大のターゲットとして切り捨てられていくことに、本当に憤りを感じます。国がすすめる、「医学部定員削減」方針によって、医師や看護師の絶対的な不足の事態が引き起こされ、「医療改革関連法」は、患者・国民への医療費負担を増大させ、医療の水準低下と負担増は区民生活に大きな影を落としています。豊島病院、健康長寿医療センターにおいては少なくとも、これまで区議会が意見書をあげてきた内容が、きちんと実現できるように引き続き東京都に強く求めていかなければなりません。

そこで区長に伺います。

これまで、健康長寿医療センターの700床の維持と回復期のリハビリの充実を求めてきましたが、独立行政法人化とあわせて、すでに2つの病棟が閉鎖され、579床で4月のスタートが切られるという事態です。700床の維持をしっかりと求めていただきたい。

また、豊島病院の未熟児救急センター(NICU)の再開、病棟の全面開設を強く求めていただきたい。

ナーシングホームはこれまで、老人医療センターと一体的な運営で医療的なケアが必要な人にも対応してきましたが、切り離されてしまったために、医療を必要とする人の入所を断る事態が生まれています。そうした水準後退は許されないことです。改善を求めていただきたい。

豊島病院では、自由診療に消費税が導入され患者負担増が生じています。負担増はやめるよう求めていただきたいがいかがでしょうか。

 次に、介護保険制度について質問します。

介護保険法施行から9年目を経て、マスコミでも「介護崩壊」という言葉が飛び交うほど、介護保険制度そのものの構造的な問題が浮かび上がっています。介護現場の深刻な人材不足と劣悪な労働条件が問題になり、4月から介護報酬が全体で3%引き上げられることになりました。しかし、介護報酬の体系全体や人員配置基準などに手をつけない小手先の報酬改定は、社会保険方式で行われる介護保険の限界をますます明らかにしています。介護保険はもともと、サービスや施設の利用が増えると、給付費が増大し、介護保険料の引き上げにつながる仕組みになっています。しかし、現在の介護保険の第一号被保険者の介護保険料は、低所得の高齢者ほど負担が重く逆進性が高い上、月額15000円以上の年金受給者からは年金天引きですから、保険料の引き上げには限界があります。昨年10月からは後期高齢者医療保険料もあわせて天引きされており、高齢者の保険料負担はもはや限界です。今回の改定では、介護報酬の引き上げが、介護保険料の高騰につながらないように、保険料値上げ分を公費で賄う財政措置が取られることになりましたが、その措置も2010年は半分、2011年にはゼロになります。結局、財源構成が法律で決められ、国民健康保険のような一般財源の繰り入れが事実上不可能な財政構造のもとでは、介護保険料を抑える手段は、介護給付費の抑制しかないのです。介護保険には給付費抑制の仕組みが構造的に組み込まれているという事です。すでに2006年から実施に移されている改正介護保険法のもとで、従来の要支援・要介護1の軽度認定者を、要支援1、2に判定するよう再編が行われ、新予防給付の対象としたうえで、要支援者のサービス利用を大幅に制限、給付カットが行われました。特別養護老人ホームは、入所待機者が全国で40万人にものぼるというのに、増設は抑制され、ほとんど増える見込みがないばかりか、介護療養型医療施設12万床は、2012年3月までに廃止が決められているのです。そうした中で、無届け老人施設の悲劇も生まれているのです。さらに今年4月からは、新しい認定システムの導入によって、いっそうの給付費削減が行われようとしています。この間報じられている内容では、いままで審査会が判断していた要支援2と要介護1の区分けをコンピューター判定に移すなど、審査会の関与を弱めたり、コンピューター判定の項目に「暴言・暴行あり」「火の始末ができない」などの認知症関係の重要な項目を外したり、重度の寝たきりの方でも「移動」や「移乗」を行わなければ自立など、介護給付費を減らす仕組みを、認定システムによって作り出そうというわけです。「介護の社会化」をうたい、「選択の自由」をうたってつくられた介護保険制度は、もはや社会保障制度とは言い難いものになっているのではないでしょうか。介護の本質とは、ともに老いに向き合って、人間として生き抜くことを、励まし合い、支え合う人間のつながりでしょう。介護保険制度のもとでは、もはや人間らしい介護は望むことができないと言わざるを得ません。

介護保険制度が、ますます「使えない」制度になろうとしている中で、保険者である板橋区として、被保険者の高齢者が、少なくとも、いままで必要だからこそ利用していた介護サービスを受け続けることできるようにしていただきたいがいかがでしょうか。

また、ますます、区として独自に、介護保険外のサービスを実施する必要性が高まってきていると考えます。区長の見解をお聞きします。

次に、シルバーパスについて伺います。

 シルバーパスの非課税対象について、税制改正に伴う経過措置として平成17年度非課税だった人は、その後課税となっても非課税扱いとなってきましたが、今年から、税法上平成17年の非課税証明ができなくなるため、今年、21年度は課税であるが、20年の合計所得金額が125万円以下の人は、1000円の利用対象とするという制度改正が行われました。このことによって、今年4月以降に購入した人で、基準の所得金額になる人は、申請すれば4月から9月までは1,000円になるので、過払い分が戻ってくることになります。

東京都の広報で案内がされましたが、知らない人がたくさんいると思われます。区としても、もっと広報していただきたいがいかがでしょうか。

また、10月以降について、非課税世帯は無料に、均等割りのみ世帯は1000円になど段階的な費用設定を、都に求めていただきたいがいかがでしょうか。

3.生活保護について

次に、生活保護について質問します。

 4月からひとり親などの生活保護世帯に支給されてきた母子加算が全廃されました。政府は一般母子世帯の平均年収より、平均的な生活保護受給の母子世帯の年間最低生活費が高い事を理由にしていますが、一般母子世帯の収入の低さこそ問題なのです。「食べ盛り、育ち盛りの子どもをかかえ、減らすのは食費しかない」「子どもには他の友達と同じように学校生活を送らせてあげたい。しかし部活の費用など、どうしたらいいのか途方に暮れる」「勉強したいという子どもに進学したい学校をあきらめさせなければならないつらさをわかってほしい」という声を国は受け止めるべきです。

母子加算の廃止によって削減された国費は、約204億円とのことです。定額給付金の事務経費だけでも800億円、政党が税金を山分けする政党助成金が320億円です。本当にこんなお金の使い方でいいのかと思います。

国に対して、子どもの生活に直結し、貧困の連鎖を生みだす、生活保護の母子加算廃止をやめ、復活させるよう求めていただきたいがいかがでしょうか。

また板橋区として、独自に支援策を打ち出していただきたいがいかがでしょうか。

父子家庭が児童扶養手当から一律排除されていることについて、国会でも少子化担当大臣が「見直す必要がある」と述べています。区としても父子家庭にも児童扶養手当が支給できるよう意見をあげていただきたいがいかがでしょうか。 

 定額給付金がすべての国民に給付される事になっています。経済不況の中で、仕事を失い路上生活を余儀なくされている人、ネットカフェ暮らしで1日1日の暮らしをつないでいる人たちにこそ、定額給付金がちゃんと届かなければなりません。対策はとられているのでしょうか。まったく放置されているのが現実ではないでしょうか。基準日の2月1日に住民登録をしていた市区町村から給付が受けられる可能性があること、また住民票が消されている場合でも、申請受付期間中に住民登録を行えば、支給が受けられることなどを知らせてほしいと思います。生活再建のきっかけをつくるうえでも重要だと考えます。ぜひお知らせと相談活動を行っていただきたいがいかがでしょうか。

また、緊急一時保護施設や簡易宿泊所で生活している人たちにも、それぞれの状況をよく聞いて、必要な人には住所を設定して、給付が受けられるようにしていただきたい。見解を伺います。

4.保育施策について

次に、保育施策について質問します。

 2009年4月の保育園の実質待機児は481人で、昨年度236人に比べ2倍以上になっています。6割が求職中とのことですが、失業や収入減によって、「働かなければ食べていけない」事態が広がっています。子どもを預かってもらえたら働きに出たい母親は急増しています。今求められているのは、求職中でも預けられる保育園、低所得の人が預けられる保育園です。必要なすべての子どもの保育が保障できるように、あらゆる手立てをつくすことが求められています。

今緊急に保育を求めている人が、利用できる施設として、保育園の一時保育や幼稚園の預かり保育があります。しかし、高い保育料が障害になっています。区として、保育園の一時保育と幼稚園の預かり保育の保育料補助を行って、預けやすい環境をつくっていただきたいがいかがでしょうか。

 認証保育所など、認可外の保育園も、収入が減って働きに出る親にとっては、高い保育料が大きなハードルです。父母負担の軽減が23区中19区で行われています。練馬区が2万円の補助制度ができたというので、板橋区の人が練馬に引っ越したという話も聞きました。わが党は、昨年3月の総括質問で認証保育所への保育料補助を求め、6月の一般質問で取り上げた際には、区長は「方法、対策等も含めて今後検討」と答弁しています。

認証保育所および認可外保育園利用者の保育料補助について、検討の内容と、実施の見通しについて、見解をお示しください。

また、私立認可保育園、認可外含め、経営の安定化のため、入所児童数でなく、定員に見合った人件費補助を行っていただきたいがいかがでしょうか。

 保育を必要としているすべての子どもたちに保育を保障できるように、公立保育園の増設を基本に、認可保育園の増設・整備計画をつくる事を求めます。見解をお聞きします。

 次に、学童保育の利用料について伺います。平成8年に制度化した際に、区は、その算出根拠に「人件費」を算入させました。人件費を保護者負担の原価計算に入れれば、人件費の上昇や、行政の都合で大幅に値上げができることになると、日本共産党は人件費算入による学童保育利用料の設定に反対しました。平成16年には、「適正な受益者負担」を理由に、負担率7.3%を10%に引き上げるとして400円の値上げが行われ、特に住民税非課税世帯や就学援助受給世帯の減免まで見直して、2000円を一挙に3200円へと値上げされました。収入が減る中で、4400円の負担を考えて学童クラブへの入所申し込みを控える事例も生まれており、あらためて、負担軽減を求めます。

特に「あいキッズ」が始まって、放課後の学校は、学童クラブ登録の子どもたちと一般登録の子どもたちが、同じ指導員のもとで遊び、生活する状態が生まれています。一般登録の子どもたちは無料なのに、学童クラブの子どもたちは「人件費」が算入された利用料がかかるというのは、矛盾ではないでしょうか。

 そもそも理屈の通らない、学童クラブ利用料への「人件費」算入はやめるべきと考えますがいかがでしょうか。

5.教育について

次に、教育について質問します。

4月21日、第3回目の全国いっせい学力テストが実施されました。国費を59億円も投入して、小学校6年生の児童と中学3年生の生徒を、学校の成績にも、授業の改善にも何の役に立つわけでもないテストに一日中拘束し、学校の多忙化と、結果公表の是非論争だけを生み出しているのです。唯一成果を言うとすれば、本当の学力とは何かという問題を国民全体に投げかけたことだけではないでしょうか。競争こそが品質を向上させる唯一の論理だという考え方を教育に持ち込み、競争の勝ち組になれ、社会に出れば、とたんに競争の荒波に放り込まれるのだ、と教えることが本当の教育なのか、そして、その成果を推し量るのはテストしかなく、テストの点数をあげることが学力だということが本当にことの本質なのか、ある意味では国際的には決着済みの問題を、遅れた日本社会がいまだに議論しているということなのかもしれません。近代社会での教育は、子どもたちを職業選択に向かわせる、あるいは配分する役割を負わされている事は事実です。それは、より有利な職業や地位につくために、より有利な学校に進学しようという競争が生まれる土壌になります。しかし、たとえばデンマークでは、そうした競争の激化を抑えるために、少なくとも、初等教育にあたる国民学校では点数がつくテストはやってはならないことになっているそうです。「民主主義の基本は人が人として尊重され、自分に自信をもち、自分の考えを主張できることにあると考えられているので、順位や成績をつけるためのテストはしてはならないことになっている」といいます。テストの代わりに重視されるのは、自分の進路を考えることです。諸外国で学力とは、知識や技能の習得と人間としての成長が一体となっているもの、友だちの考えを聞きながら、自らの問いを発して判断していく力にほかなりません。ヨーロッパの国々に共通しているそうした考え方は、国際条約などが示した世界のルールだということについて、日本の教育は学ばなければならないと考えます。全国いっせい学力テストは、教育を国家による目標管理のもとにおくことを最大の目的にして、学校の序列化を図り、子どもたちを競争によって分断し、孤立化させていく、日本の教育の貧しさの象徴ともいえるものです。

そこで、教育長に質問します。

全国一斉学力テストの意義について、板橋区は「各学校が各児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てる」ことが調査の目的と文部科学省と同様の見解を述べていますが、そんな学校はほとんどないのではないでしょうか。また、昨年11月の区教育委員会でも「秋田県が一番になるのは私立に行く人が少ない殻」という話が紹介されるなど、順位付けはまったく意味がありません。しかも、文部科学省の担当官自身が「学力の状況の全国的な傾向の把握のためなら、全員対象の調査でなくてもいい」とのべるなど、その意味はすっかり失われていると考えます。教育長の見解を求めます。

 また区は、教育振興推進計画のなかで「従来の国や都の学力調査では、現在の学力の状況はわかっても、児童・生徒がどの時点からわからなくなったかを把握することが困難。区独自の到達度調査を実施し、その結果を個人ごとに分析する」と述べていますが、テストを重ねることで教育効果が上がるという考え方はもうやめるべきではないでしょうか。大事なことは、子どもが共同で学ぶことを大事にし、自ら学ぶ力を育てること、教師同士の協力関係を大事にして集団で力を発揮できる教員集団をつくることです。しかし、区がさらに重ねて独自の一斉テストを行うというのであれば、少なくとも全国一斉学力テストはやめるべきです。教育長の見解を求めます。

 区は独自の到達度調査によって、子どもの「つまづき」をつかみ、フィードバック学習ができる教材を用意して、「つまづき」に戻って学習できるようにするとのことです。子どもがどこでつまずいたかを発見する事は大事なことですが、さらに大事なことは、日々の授業が「つまづき」をうまないようにすることこそではないでしょうか。少人数学級は、授業の中で、一人ひとりの理解の様子が把握できて、その場で指導ができるという点で、すでにその効果は実証済みです。また本当の学力とは、知識と人間としての成長が一体となってつくられていくものということを考えるならば、やはり教科ごとの少人数授業ではなく、学習と生活が一体で行われる少人数学級でこそなのだと考えます。区として少人数学級の実施に足を踏み出していただきたいがいかがでしょうか。

6.男女平等施策について

次に、男女平等施策について質問します。

 女性差別撤廃条約から30年、7月13日には国連女性差別撤廃委員会で日本政府の取り組み状況報告の審査も行われます。日本政府はこれまでも審査のたびに厳しい改善の勧告を受けてきました。前回2003年の審査で示された懸念・要請・勧告は22項目にのぼります。賃金格差、パート・派遣の問題をはじめ多岐にわたっています。

区においても、介護や保育、福祉施設や図書館など、民営化や指定管理者制度導入などが行われている職場では、非正規があたりまえで、その多くが女性労働に支えられています。また保育園や学校、消費生活相談など、仕事が恒常的にあるのに、契約期間が来ると機械的に雇い止めにし、常に短期雇用を入れ替え続けるという働かせ方などが、当たり前のように行われています。女性労働が、まさに安上がりの受け皿とされているのです。この間の、経済状態の急激な悪化は、これまで以上に、女性と労働をめぐって様々な問題を顕在化させていると考えます。しかし、板橋区の男女平等の行動計画には、そうした問題がまったく反映されていません。男女平等の観点から、不安定な女性労働に支えられた労働の実態などがきちんと反映されるべきだと考えますが、見解をお聞きします。  

配偶者の暴力から逃れてくる人の救済の問題について、体系的な行政の仕組みが求められています。着のみ着のままで加害者から逃れてきたものの、住民票が移せない、家に荷物を取りに行けない、当面の生活費がない、就職先がない、調停の費用や時間がつくれない、加害者の追跡の恐怖や精神的な打撃など、深刻です。行政としては、当面の雨露をしのぐ場所と食事までは準備できるものの、あとは生活保護制度しか対応できないのが現状です。生活保護制度では対応できない複雑なケースも多く、当面の身の回りの生活用品を買う資金さえ、行政として提供する事が出来ていません。必要な支援が、DV対策として体系的に確立されなければならないと考えます。DVから逃れたあとの生活再建支援の総合計画を策定することを求めます。見解を伺います。

7.地域問題

最後に、地域問題です。

石神井川にかかる板橋の橋は、観光スポットとして、橋の改良もおこなわれました。旧中山道を歩くグループなどもよく訪れています。特に桜の時期には、区内でも有数の桜の名所となっており、今年もたくさんの人が桜を堪能していました。しかし、夜になると、改良された橋には、足もとにフットライトの装飾はあるものの、桜は暗くてみえません。中板橋から新板橋までは雪洞や提灯もつけられていますが、板橋の橋の周辺にはそれもありません。是非、地元の商店街や町会とも相談をして、ご近所にも協力をお願いして、雪洞や提灯がいいのか、橋のたもとの桜だけライトアップするのがいいのか、方法は検討していただいて、桜の時期だけでいいので、夜桜が楽しめるような工夫をしていただきたいのですがいかがでしょうか。

また、石神井川沿いの桜並木は、全体で桜の木が1000本あるそうですが、区民生活にうるおいを与える大事な緑です。特に中板橋から金沢橋の区間は大木も多く、1年を通してウォーキングをする人や、春の花見客などでにぎわっています。しかし、ひとつだけ心配なことがあります。先日私の知り合いで桜を愛好されている方が、30本近い桜の写真をもってこられました。写真を拝見すると、どれも根っこの周辺や幹の皮に腐りが入り、このままでは枯れてしまうのではないかと思いました。約1000本の桜の中には、枯れてしまうような桜が相当数あるのではないかということです。そこでお伺いしたいのは、桜の木の健康状態を点検されているのかどうかということです。行っていないとすれば、すぐ実施していただき、幹が腐っているものについては、治療して再生していただきたいと思います。区長の見解を伺います。

地域問題の最後に、蓮沼町、清水町地域では、銭湯がなくなって、風呂のない人やお年寄りが、風呂に入るのは週2回にしているとか、歩いて20分もかけて行っている、天気が悪い日はあきらめるなどなど、大変不便な毎日を過ごしています。銭湯の新設やその他の手立ての見通しが立っていませんが、少なくとも今利用している銭湯がさらに潰れることがないようにしていただきたいと思います。公衆浴場確保法に基づく経営支援の基準を引き上げて、区内の浴場経営者が使える制度にすることを求めてきましたが、その検討状況について、お聞かせ下さい。

以上で、私の一般質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。


日本共産党板橋区議団