2004/10/18
「指定管理者制度」の議案(「いこいの家」「ふれあい館」)について反対討論をおこないまいた。
ただいまより議案第79号『東京都板橋区立ふれあい館条例の一部を改正する条例』、議案第80号『東京都板橋区立いこいの家条例の一部を改正する条例』に対する委員会決定『可決』に反対して討論を行います。
本議案は、区立ふれあい館といこいの家を区の直営から新たな委託方式である「指定管理者制度」を導入するために出されてきた議案です。
そもそも、なぜこの指定管理者制度という制度ができたのかという問題です。昨年の地方自治法の改正により、これまでの管理委託制度に代わって出されてきた「指定管理者制度」は、そもそも日本経団連などの財界の要求にもとづいてつくられた制度そのものだということです。その狙いは「公共施設を民間の営利目的の市場にする」ということです。行政が責任を持つ仕事を市場に開放するという、とんでもない狙いを持って生まれたこの制度は、指定された管理者が行政に代わって多くの権限を有することになります。「利用許可、利用料金を決めることができます」「議会のチェック、住民の監査請求や情報開示もできなくなります」「休日や営業時間を指定管理者が自由に決めることができます」「つまりは、そうした部分での金もうけは自由」など、自治体の公的責任がますます後退します。民間株式会社が区民の税金で建てた施設をただで使って、運営費の税金と利用料で利益をあげ、会社の株主に配当を配ることも可能になってしまいます。このようなこと自体、「無料、または低廉な使用料で、なおかつ公正なルールで利用できる公共施設」には、相容れないものです。この制度そのものが、憲法に定められた人権保障に反し、公的責任に逆行するものだということを強く指摘をし、以下具体的に述べます。
@ 地方自治法改正上では、すでに管理委託している公立施設についてのみ、施行後3年以内に指定管理者制度か直営にするかを決めることが定められていますが、この二つの施設は現在直営施設で、3年以内に指定管理者制度にする必要性はなく、今回の導入は、刷新計画のもとで進められています。法の改正で区が刷新計画を策定したときの委託のあり方から制度そのものが大きく変更したのですから、計画で「全面委託」とした施設にとって、この「指定管理者制度」がふさわしいのかどうかを改めて検討すべきです。その検討もせずに強行することは、自治体の最低限の責任をも放棄する姿勢として許されるものではありません。
A 指定管理者制度という新しい制度がどのようになるのか、具体的に想像もでき
ないまま、規定にしても、仕様書にしても、なにを盛り込むべきかも含めて、まだこれから作成するにも関わらず、新年度実施ありきで進めるやり方自体、あまりにも拙速で無責任です。
指定管理者制度の導入スケジュールについては、東京都の指針でさえも1年かけて、引き継ぎ期間の重要性などが指摘されていますが、区の計画ではその半分の半年でやるという、十分な引継ぎ自体不可能になりかねない、刷新計画ありきになっています。また区民に対する説明行為もなければ、理解を得る期間もない、区民参画、区民の理解に背を向けています。
さらに、選定委員会についても規定、指定期間について条例に定めていないだけでなく、両施設とも選定委員会は区の職員だけという、透明性・公平性の観点が全く欠如しているのです。
B 今回の議会に指定管理者制度の導入として出されてきた6条例の中で、ふれあい館、いこいの家の条例改正には『指定の取り消し』条項がありません。所管では、この事実について委員会で指摘されるまで全然気がつかず、「法規がいいと判断した」といいましたが、一方、企画総務委員会でのわが党の議員の指摘に対して、理事者からは「所管がいいと判断したから」と、まるで責任のなすりあいのような答弁が行われました。責任はどちらもおなじではないでしょうか。区民の人権がかかる施設運営に対しての区の責任は重大です。新しい制度だからこそ二重にも三重にも確認をし、調査研究を重ね、ほんとうに導入すべき制度かどうかを、区民の視点に立ち、改めて検討しなおすことこそすべきではないでしょうか。この二つの施設は高齢者福祉の目的のもと、高齢者の人権を守るべき施設であり、この指定取り消し条項は不可欠です。特に個人情報保護条例とのかかわりでは、区民の個人の情報を他に流したとき、罰則されるのは指定管理者である会社に対してではなく、流した本人に対してだけで、会社の責任が問われないという大きな問題があるのです。だからこそ、この「指定の取り消し」条項は不可欠であり、定めないこと自体、欠陥条例だということが指摘されます。
C ふれあい館では、正規職員4人、再雇用、再任用などの体制の中で運営を担ってきました。水準を維持するためには最低限、指定管理者に対して、人材派遣などの不安定雇用による体制ではなく、正規の職員を配置することなどの明記、不正につながらないよう、働く労働者の権利を守る規定が必要です。しかし区の答弁では、結局「管理者の自由にすべき」と、会社の営利目的のもとで、人材派遣などの不安定雇用などによる事業の水準低下、区民へのしわ寄せを是とした答弁は許されるものではありません。
以上、そもそも財界が進める「公の施設を民の儲けの市場にゆだねる」ことを目的とした指定管理者制度を、障害者、高齢者など、区民の人権を守る公共の施設に導入すべきものでないこと、同時に、現在、両施設が抱えている人間関係などの問題を解決するためにも、職員が一体となって改善できる直営でこそ改善ができること、さらに、経費削減を優先し、区民に対する公としての責任を削減する『指定管理者制度』の導入は自治体の責務を放棄するものであることを強く指摘し、本議案に反対し、討論を終わります。