「荒川スーパー堤防」関連ニュース


板橋区は国土交通省との共同事業で、資源化センター(現在休止中)のある舟渡4 −16の土地約6027平方メートルをスーパー堤防にして新・資源化センターを30億円かけ て建設する計画を発表しました(その後20億円に規模を縮小)。その理由として1.資源化センター敷地の地盤改良が建設省(国土交通省)の工事で行われる。現施設 取り壊し、工事期間中のビン・缶の外部処理委託等の補償が受けられる。2.自然地、 スポーツ・レクリエーションゾーンへのアクセススポットとして、「光と風の荒川」 整備事業と連動した整備が可能となる、をあげました。スーパー堤防の経費は70m に25億円を予定しています。板橋区としては新しい施設を建設する費用の削減をは かれるということが、最大のメリットです。国土交通省の事業費も区の施設建設の事 業費も税金です。公共事業の見直しが国民的要求になっており、なおかつ河川審議会 が治水対策の抜本的見直しを答申している中で、この共同事業を強引にすすめていい のでしょうか。区議会では、国土交通省と共同事業をおこなうための調印を凍結せよ と要求したのは日本共産党区議団だけでした。


★本当に「超過洪水」の危険性はあるのか?

荒川の堤防から水があふれて、その洪水が堤防そのものを決壊させるのを防ぐためという理由で、盛土をして堤防の幅を広げる事業を「スーパー堤防」事業と一般的にいいます。荒川の場合は200年に一度の洪水でも対応できる堤防といわれていますが、さらにあふれた時の備えに必要だというのが事業者の説明です。

●200年に一度、堤防から水があふれる「予測」はどうして生まれたか?

 事業者の説明でもっとも不明な点は、「予測」の根拠を明確にしめすことができないことです。荒川上流は「スーパー堤防」事業の計画がなく、上流の支流で洪水が起きてもそちらであふれるので、下流での「スーパー堤防」は意味がないのではないかという指摘もあります。
 しかし、「予測」の計算式はありました。荒川の場合は、雨水による洪水ではなく、「ちょとした原爆なみのエネルギーが東京湾に落ちた場合の高潮が上流に逆流して超過洪水が発生する」という計算式でした。それほどのエネルギーによる災害なら、堤防が決壊しなくても被害ははかりしれません。

★本当に「治水事業」といえるのか?

●荒川スーパー堤防事業は、2006年以降の計画のめどはない

 治水対策とためといいながら、総事業計画さえ示すことができないのが現状です。荒川で過去に事業化できた地域はほとんどが公共用地で、民間はほとんど ありません。平成18年度以降の事業のめどさえたっていないのが現状です。荒川の両岸(160キロ)をスーパー堤防化するには、土地所有者に移転してもらわなければなりません。順調に事業化しても400年はかかる計算になります。上流を含めて両岸全て完成しなければ治水効果は全くありません。本当に超過洪水対策というなら、短期間で可能な技術があるはずです。現在、国民が期待している治水対策は、危険な中小河川対策です。荒川でも、スーパー堤防のための過大な予算が、上流支流の危険箇所への対策を遅らせる原因となっています。

★誰のための事業なのか?

 荒川スーパー堤防事業は、荒川下流の事業費の半分以上も占めています。98年 度までに10ヶ所のスーパー堤防事業が「着手」されました。点のような工事地域を つなげても総延長は約9.3kmで、事業費は1173億円となります。1メートル 当りの費用は移転補償など不確定要素があるため一様ではなく、1メートル当り52 67万円かかるところもあります。現段階での1メートル当りの単価は約2000万 円から3000万円になると予想されます。そうすると、荒川スーパー堤防事業には、 1兆円〜1兆7000億円という莫大な事業費になります。なぜ、こんなにお金がか かるのか、その一つにスーパー堤防をつくるための盛土は、端部に擁壁を必要とする ため、たとえば1億円の堤防本体をつくるために、約16億円必要となるからです。 盛土が高くなると経費が増すことになります。
 土地所有者の移転補償費は、工場の移転費用を補償してもらって、堤防整備中 の仮工場の建設をしてもらう、工事中の借地料、堤防完成後にもとの新しい工場を建ててもらう」など、いたれりつくせりです。板橋区の場合は、リサイクル施設の移転費が補償されました。「スーパー堤防」用の盛土のうえに不要不急の新たなハコモノ建設とつながっていったのです。

★スーパー堤防は事業目的の破綻を前提にしている
 〜利根川スーパー堤防、完成まで1000年なんて〜

●「完成まで1000年なんて」・・・朝日新聞1998年12月15日から。
 
 200年に一度の洪水を想定した従来の河川堤防を、さらに肉厚にするこの事業は、 利根川の場合「完成まで1000年」という気の長い話。「景気対策の名のもとに、 事業のための事業では」との指摘もあると報じています。「部分的に堤防が部厚くなっ たって、どうなるものでもない。国のやることはようわからん。」利根川スーパー堤 防近くの農民の声を紹介しています。国土交通省の水害統計(九六年度)では、家屋 に被害を与えている破提は1%もないと、効果についても否定的に報道しています。 実際、両岸すべてが完成しなければ治水効果はなく、現在の事業状況のようにポツリ ポツリと点のような工事を莫大な税金をかけて行う必要性は本当にあるのでしょうか。 新聞記事では、公共事業政策の専門家が、「結局、建設省が既得権を守るためにやっ ているとしか思えない」と述べています。 (朝日新聞に掲載された利根川のスーパー堤防の写真。田畑の方に突き出て肉厚に なっている。)