「板橋区基本計画素案」に対する区議団の要望書

2005年11月29日提出

板橋区長 石塚 輝雄 様

 

<基本計画素案についての日本共産党区議団からの意見と要望>

 

長期基本計画は、区政を総合的計画的に進める、長期的指針であり、実施計画や、各分野の個別事業計画の根幹となる計画です。

同時にそれは、区が区民に発する、自らの政治姿勢を具体化したものです。

この計画を策定するに当たって実施したワークショップに参画をした区民の期待は大きなものと推察します。しかし、一方で、形式的に実施しただけで本当にワークショップで出されたさまざまな提案が今後の区政に生かされるのか、という不安な声も参加した区民から寄せられてもいます。

そこで、まず第一に、今回の素案について、全体を通じての共通する問題を指摘します。

 

(1) 諸目標に対する現状と課題が設定されていますが、区民にとって、最も重要かつ、緊急な課題をしっかりと基本計画に盛り込んでいただきたい。

例えば、安心して子どもを産み育てられる街という目標に対して、最大の課題である、子育て家庭の経済的負担の軽減の課題が明確ではありませんし、自立とふれあいにより社会参加ができるまちでも、同様のことが言えます。区民は今経済的な不安定さを背景に、高齢化社会への不安や子育て、結婚・安全な住まいへの不安を広げています。

(2) 各主体の主な役割では、区民・町会・NPO・事業者・区などの関係の有機的関連についての説明が必要です。その中で行政責任を明確にすることが、基本計画の要です。

  素案では、単なる役割分担のようにも見え、区の行政責任をあいまい・相対化している感が否めません。

 

第二には、いわゆるまちづくりについてです。

 

(1) 今ある施設を如何に長持ちさせ、大事に且つ有効に活用する観点から、改築も含め、改修、補修計画を、明確な計画事業として、進めて頂きたい。

その場合、10年後、20年後の地域住民の利用や、要望に耐えられるものにしていって頂きたい、また、地域のコミュニティーづくりを支援、寄与できる計画にして頂きたいし、地域コミュニティーの核となりうるものにしていって頂きたい。

(2) まちづくりの基本に水害や地震対策など、災害対策を計画の柱にして頂きたい。その場合、ハザードマップで示されているように、地域によって、被害想定などが著しく異なるので、それに対応する木目細かい計画を作っていただきたい。

また、個別計画や所管ごとのいわゆる縦割りではなく、地域ごとの総合計画化を図っていただきたい。

第三に、区民の理解しやすい計画にするため、表現をより平易にし、長すぎるセンテンスにならないよう、検討していただきたい。

 

以下、具体的に指摘します。

 

第1章計画の意義

1.計画の意義と役割

(1)計画の目的

○最初の3行は1つのセンテンスで、長すぎます。

○「区政を総合的・計画的に経営する長期的指針」は、「区政を総合的・計画的にすすめる長期的指針」に変えることを提案します。区政における「経営」とはどういう事なのかの説明が必要です。

(2)計画の性格

○「協働」について、説明を付してください。

○「生活者の視点」について、説明を付してください。

○「整備目標明示型」から「成果目標明示型」にしたとはどういうことなのか、説明を付してください。

2.計画の背景

(1)位置・地形・歴史

○板橋区の地名の由来について、「由来」を説明する記述にしてください。800年前に「板橋」と呼ばれていたことが「板橋」の由来というのはなぜ『板橋』なのかという説明となっていないのではないでしょうか。また、その根拠となる文献を示してください。

(2)社会経済環境の変化

○「平成14年から、景気はようやく回復傾向」との記述は、一面的です。

○「犯罪発生件数の増加」との記述は、事実と違います。犯罪件数は、昭和57年、58年をピークに減少傾向です。

○「悪質化・凶悪化」の説明を付してください。

○“「新しい公共」の実現が時代的な要請となっています。”の文章の主語を明記してください。

 

第3章 基本目標を実現する個別目標と計画

○「望ましいまちの状態」の記述は全項にわたって、不必要です。めざす方向性についての短い記述にすることを提案します。

その理由は… 将来社会はどうあるべきか。そのイメージを描くことは大変困難な作業です。なぜなら、多様な価値観が広がっている社会を想定するだけでも、のぞましい社会のあり方を単純に描くわけにはいきません。たとえば、「家庭では家族が協力し合いながら子育て」をするといいますが、そうでない場合も子育ての形としてはありうるわけです。また、消費者被害や詐欺のない社会とは、犯罪を極端に抑止する社会になりうるわけですから、極度の監視社会になりかねません。このように基本計画に「のぞましいまちの状態」を現在の課題の延長線上にすべてを達成された状況として描くと、現実との乖離が大きいだけでなく、課題に含まれる矛盾があいまいになり、また課題が限定されかねません。社会発展の形成主体は住民なのであって、行政が画一的に将来社会像をしめすのは誤りです。したがって、「のぞましいまちの状態」の項は不必要なばかりでなく、有害であると考えます。

 

個別目標(1)―1

2.現状と課題

○少子化を生み出している原因の記述が必要です。基本計画のために区が実施した区民アンケート調査では、行政に期待する子育て事業では、「経済的な援助の強化」の要望がトップにあげられていました。そうした記述をすることにより、計画にリアリティが生まれると考えます。

○女性の地位向上が不可欠だということも加筆してください。

3.各主体の主な役割

○区(行政)の欄にも「保育サービスの充実」を加筆してください。

5.成果指標

○“経済的な負担感”も指標に加えるべきです。

 

個別目標(1)―2

2.現状と課題

○「習熟度」ではなく、基礎学力を身につける学習の充実や発達の保障に改めてください。

○「ニート」と「フリーター」は就労機会がどのように確保されているかという問題と社会生活に対する価値観の多様化によるものです。したがって克服すべき個々人の問題として記述すべきではありません。『ニート』『フリーター』の用語自体に誤解が含まれており、あえて使うことはないと思います。

3.各主体の主な役割

○事業者の欄に「若年層の新規採用を積極的に行い、雇用確保につとめる」という加筆をおこなっていただきたい。

○区(行政)の欄に、「教育施設の環境整備」を加筆してください。

5.成果指標

○青少年の健全育成の指標は、非行の数を減らすことであって、少年補導件数を減らすことではないのではないか。補導をしなければ件数は減るので、指標にならないのではないか。

個別目標(1)―3

2.現状と課題

○3行目、「高齢化の進行に伴う医療費の増加も懸念」の記述は削除すべきです。ここだけ急に財政問題が記述されるのは不自然です。「高脂血症や高血圧の割合が加齢に伴い増加しています。」という記述でよいと考えます。

3.各主体の主な役割

○「事業者等」の第一義的な役割として、「自らの企業内での労働安全衛生環境の確保」を記述していただきたい。

○区(行政)の役割として「区民の健康診断の推進」を加筆していただきたい。

 

個別目標(1)―4

3.各主体の主な役割

○区(行政)の役割として「生涯学習の場の提供」を加筆していただきたい。

○同じく、良質な住宅供給の「確保」を加筆していただきたい。

○区の役割として、建築確認審査体制の強化を民間確認も含めて加筆していただきたい。

5.成果指標

○「公営住宅を増やす」指標を加えていただきたい。

○「マンションへの支援」についての指標を加えていただきたい。

 

個別目標(1)―5

2.現状と課題

○高齢者の収入の減少、社会保障の負担の増加を加筆していただきたい。

○介護保険制度の記述について、「今後は」のあとに「基盤整備に引きつづき取り組みつつ」を加筆していただきたい。

○「高齢者の自立支援・尊厳の保持を基本としつつ」はわかりにくい。「長生きしてよかったといってもらえるように」と記述をあらためていただきたい。

3.各主体の主な役割

○区の役割に「介護福祉サービスの充実のための基盤整備、必要な負担軽減の実施」を加筆してください。

 

個別目標(1)―6

2.現状と課題

○「フリーターやニート」は、前期訂正要点と同じです。49ページ「施策の概要」も同様です。

5.成果指標

○「審議会などの女性委員の割合」は、10年後は50%半分にすべきです。

 

個別目標(2)―1

2.現状と課題

○ペット愛好家の増加と「動物との共生」が新しい課題となっていることを加筆してください。

3.各主体の主な役割

○区の役割に「学校を中心としたコミュニティの形成」を加筆していただきたい。

○区の役割に、「動物と共生できるまちづくりのための合意形成」を加筆していただきたい。

 

個別目標(2)―2

2.現状と課題

○「しかし近年は、」の後に「長引く不況や」を加筆していただきたい。

○「核となる魅力ある店舗づくりへの支援」の前に、「各個店の経営基盤の安定化への支  援」を加筆していただきたい。

3.各主体の主な役割

○ 区の役割に、「実態調査」を加筆していただきたい。

 

個別目標(2)―3

5.成果指標

○花火大会観客者数のカウントの仕方が、現状が「52万区民全員」としていることは不正確です。

○「集客交流の活発さ」を示す指標として「親子たこあげ大会」の参加者数をあげるのはいかがなものでしょうか。

 

個別目標(2)―4

5.成果指標

○「文化会館ホールの稼働率」はそのまま「文化活動の活発さ」の指標にはならないと考えます。「区民の文化活動の活発さ」の指標とするなら「区民が主催する文化事業による会館の利用率」の指標が必要です。

 

個別目標(2)―5

2.現状と課題

誤植でしょうか。下から4行目。「一員としてとも暮らす」→「一員としてともに暮らす」

3.各主体の主な役割

○ 区の役割に、相談窓口の設置などの支援強化を加筆してください。

5.成果指標

○「平和を願う意識が高いと感じる区民の割合」というのはわかりにくい。

 

個別目標(3)―1

3.各主体の主な役割

○区の役割に、「学校を中心とする防災拠点づくり」を加筆していただきたい。

5.成果指標

○役割にも、施策体系にもなく、突然「成果指標」に食品についての記述があるのはおかしい。きちんと役割、体系に位置付けるべきです。

○要援護者の安心の度合いを指標に加えるべきです。

 

個別目標(3)―2

3.各主体の主な役割

○区の役割について、公共施設の耐震補強など災害に強い施設整備を加筆してください。

○区の役割について、避難場所の安全性の確保を加筆してください。

5.成果指標

○「大雨が降っても水害の不安が少ないと感じる区民の割合」はわかりにくい。「大丈夫」と思っているから「大丈夫」ということ、水害に対する対策が十分にとられていて不安がないというのとはまったく性格が違います。

○区内建築物の耐震化率を指標に加えてください。

個別目標(3)―3

個別目標(3)―4

個別目標(3)―5

個別目標(3)―6

 

第4章地域別の特性と今後の方向性

(1)板橋地域

(2)常盤台地域

  (2)施策の展開

○「上板橋駅南口地区」について、「市街地再開発事業を進め、土地の有効利用による都市機能の充実と生活の利便性の向上を図ります。」を削除して、「木造密集住宅市街地整備事業などを活用し、防災性の向上と住環境の整備を図り、地域に密着した駅前商店街の活性化をすすめます」を加筆してください。

(3)志村地域

(4)赤塚地域

(5)高島平地域

  (2)施策の展開

○「荒川沿いのスーパー堤防整備を誘導するとともに」を削除

 

第5章計画推進のために

 

まず、1の区民との協働のところについては、区民参画の機会の拡充 について、すべての計画を立案する時点から、区民が参画することを保障するため、「区民参画を計画の段階から保障する仕組みを確立する」ことを明記してほしい。

 

2の行政経営の確立のところには、はじめにも述べましたが、区の財政を支えるためには、区民の家計が温まってこそであり、そうなりえていない現状について明記し、その解決を課題として明記していただきたい。そして施策の方向については、区民の暮らしを支える支援の強化を入れていただきたい。

 

2005年11月29日  日本共産党板橋区議団

 


日本共産党板橋区議団