|
6月22日、国会で自民・公明・民主が強行可決をした「介護保険制度の改正」は、改正ではなく「改悪」だということは、内容を見ても明らかです。
多くの改正の内容が実施されるのは来年の4月以降ですが、この10月1日以降にすでに始まった内容もあります。それが介護施設における居住費(ホテルコスト)と、施設と居宅サービスでの通所介護、通所リハビリでの食費、またショートステイでの滞在費と食費の全額自己負担です。この開始に対し、都内では、急激な負担増で必要な介護を受けられない事態を少しでも解消するために、「独自の軽減制度」を立ち上げて取り組むいくつかの自治体も広がってきています。板橋区議会では、区民から独自の軽減を求める陳情も提出されていましたが、日本共産党以外の会派が「継続」を主張して、今回採択とはなりませんでした。また、議会での質問に対する区の答弁は、「あくまでも国に準じてやる。独自は現在のところ考えていない。」というものでした。
わかりにくい介護保険制度ですが、この10月1日から実施されている点に絞ってQ&Aで見てみたいと思います。
ホテルコストと食費の自己負担とは
Q ホテルコストって何の経費をさしているの?
A 厚生労働省の資料によると、光熱水費と、個室については室料も入って「いわゆる居住費(ホテルコスト)なんですって。
Q では食費って?これまでだって食費は自己負担しているじゃないの?
A これまでの食費は、一部自己負担で払っているのだけれでも、今度はそうではなくて食材料費と調理費相当分、つまり食事をつくるのにかかる費用全額を、要介護の人の負担にするということよ。
なぜこんな見直しがされるのか
Q どうしてこんなに負担を増やす見直しをしなければいけないの?それでなくとも保険料を払っているのだから、利用料は取らないでほしいって声が大きいのに。
A 介護にかかる公費(税金)を減らすことを目的にしてるからよ。
Q だってその分、介護を受ける人や家族の負担が増えるんでしょ?
A そう。今でも大変だって払えるお金にあわせてケアプランを作ってもらっているのに、これじゃあますます介護を削るしかなくなるわね。
独自の軽減事業の行方
Q 聞くところによると、荒川区なんかで独自の軽減事業を立ち上げたんですって?
A そうよ。荒川区ではデイサービスに通っている区民に対して、食事代の25%を補助するんですって。荒川区の担当部署では、この負担導入で通所の利用を減らすことがないように考えて実施するといっていたわ。
Q 板橋区でもできないの?
A そりゃあ、区長にお願いしなくちゃね。でも、この間の議会での質問に、区長は「あくまでも国に準じてやっていく」って答弁していたから、つまりは独自では軽減しないっていうことじゃないかしらね。何でも板橋区で現在通初夏以後と通所リハビリに通っている人の数は3617人で、荒川方式でやるとなると、今年度の残り6ヶ月で約1400万円ぐらいかかるそうよ。
Q それぐらい何とかならないの?
A まあ、今回板橋区はこのホテルコストと食費の導入で、区が投じるお金を減額補正したっていうし・・・、それも4千万円越すお金が介護保険の特別会計から一般会計に戻されているから、充分荒川方式の軽減はできることになるわね。要は姿勢じゃないかしらね。現在の区民の介護を削りたくないっていう、荒川区のような自治体本来の姿勢がないのね。
どれぐらいの負担が引きあがるのか
Q 特養ホームだと、どれぐらいの負担が増えることになるの?
A 世帯が非課税でないところ、課税年金収入が266万円以上に人は、個室ではなくて大部屋で、今までより2万5千円負担が増えて、月5万6千円から月8万1千円になるわ。内訳は居住費として月1万円、食費として月4万2千円、この二つが保険外で増えて、あと利用料1割負担額は2万9千円よ。9月までは、利用料が月3万円で、食費が2万6千円だったから、大変になるわね。
Q 非課税世帯の人は負担は安くなるの?
A これがややこしいんだけれども・・・、これまでとは利用者の負担段階が変わるのよね。これは来年の4月から保険料段階が現在の5段階から6段階に国は変えるんだけれども、その段階に合わせていて、第1段階は、生活保護を受けている人と老齢福祉年金受給者で同じで、かかる負担額も据え置きになっているのだけれでも、現在個室に入ってる人については、2万5千円の部屋代が取られることになるから、実際は生活保護を受けている人については、必要性があって個室に入っている人も、払えないから大部屋へ移るしかないことにもなるわね。不公平な内容よ。お金がない人は個室には入れないなんて。その人の状態に応じた配慮が現場では必要なのにね。
第2段階は、世帯が非課税で課税年金受給額が80万円までの人よ。この人たちについては大部屋利用の人ならば、現在月4万円の負担が、利用料1割負担額が減って、月3万7千円の負担になるから、負担が減ることになるわね。これは、高額介護サービス費の上限額を、9月までは2万4600円だったのを1万5千円に引き下げたことによるのよ。でも食費と居住費が入るから、3千円の負担減にしかならないけれどもね。そして新しい第1段階から第3段階までの人については、居住人食費については負担上限額があって、それ以上の負担はしないでいいことになっているのよ。
でも第3段階となる世帯非課税で、課税対象となる年金収入が80万1円以上で、266万円以下の人については、現在4万円の負担が、5万5千円に引きあがることになるわ。もちろん大部屋利用でね。
Q でも高額サービス費の適用を受けたって、いったんは利用料1割分は払わなければいけないのでしょ?
A その通りよ。
Q いったん払えるだけのお金を持っていないと、大変よね。ほかには何か軽減事業はあるの?
社会福祉法人の軽減制度はあるけれども
A 特養ホームについては、入っている施設が軽減事業に手を上げていたら、その施設に入っている人については、かかる利用料について、1割負担の4分の1負担を軽くしてもらえるのだけれでも・・・。
Q どうしたの?不安そうな顔をしているわね・・・。
A 実は、この制度ね、区内の特養ホームでも4箇所しか手を上げていないんだけれでも、逆に食費なんかの介護報酬額が大きく削られたので、今まで手を上げていたところもやれないっていう声が寄せられているのよ。おまけに、今までは高額サービス費の制度を先に使って、それで足りない場合、社会福祉法人の軽減制度だったのが、今回からは先に社会福祉法人の軽減制度を使って、それでも高額サービス費の基準より超える場合それを使うっていう、逆にされてしまって、軽減制度を使う施設は大変なお台所状況になるばかりなのよね。それでなくとも今回の食費の自己負担導入で、報酬単価額を大きく削られたから、これまでの食事の水準を維持するためには、かなりの持ち出しを覚悟しなければいけないんですって。だから板橋でも新たに手を上げるどころじゃないのが実情じゃあないかしらね。
Q だけど、老健施設に入った人は負担軽減はあるの?
A 残念ながら、食費と居住費の負担上限額以上の軽減は低所得の人にはあるけれども、いわゆる社会福祉法人の軽減制度はないわね。高額介護サービス費は利用できるけれども、いったんは1割の利用料は必要だしね。
在宅で介護を必要としている人への負担はどうなるの?
Q 在宅で介護サービスを受けている人はどうなるの?
A 10月からの食費の全額自己負担導入は、在宅でデイサービスに行っている人たちも新たな負担増になっています。おまけに施設サービスに適用される軽減制度もなく、まるまる負担になります。ただし、ショートステイを利用する人には、施設サービスと同じ低所得者の負担限度額が設定されており、新第1段階から第3段階の人まではその制度の対象になるのよ。
Q これまでよりどれぐらい負担増になるの?
A だいたい月平均デイサービスに通っているのが8回、これまで区内で大体1回400円の昼食とおやつ代だったのが、1回600円から700円になっているみたい。1回いくと300円の負担が増えるから、月2400円の負担増ね。1円でも削って暮らしているお年寄りには本当にきついわね。特に第2段階、第3段階の人たちが大変ではないかしらね。区は新第2段階の人も高額サービス費の上限額が1万5千円になったから、この軽減制度を利用すればいいというけれども、月に1万5千円も介護の負担をできる人はそんなにいないわね。多くの人たちが、1万円以内でも必死という状況で、これ以上の負担は厳しいと思うわ。
Q 生活保護の人はどうなるの?
A 施設サービスについてだけは、これまでどおり保護費の中から保障されるのだけれども、デイサービスもショートステイも全部自分で負担をしなければいけないのよ。
Q そんなの・・、生活保護の人はデイサービスもショートも利用するのが大変になるってこと?
A その通りよ。おまけに、70歳以上の生活保護を受けている人は、この間老齢加算の段階的廃止で、受け取る生活保護費は1万4千円以上減っているのよ。今回のこの見直しは、お金のない人は介護を受けなくていいといわれている感じだわよね。
実態を突きつけながら、必要な介護を保障させる運動を大きく広げよう
Q よくわかったわ。今度は来年の4月以降の見直しについても教えてね。今日はここまでで頭がいっぱいよ。
A そうね。とにかくもう始まったホテルコストと食費の全額自己負担導入に対し、大変な実態を自治体に突きつけながら、自治体独自での住民を守る対応を求めてがんばらなければね。
|